宮城県女川町が、クマの出没を注意喚起しようと、住民から提供を受け、公式のSNSに投稿した画像がフェイク画像だった問題についてです。
専門家は、自治体の情報発信に対する責任の大きさについて指摘します。

問題となったのは、26日、女川町が公式の「X」に投稿した、クマの出没情報とその画像です。

住宅地の路上にたたずむ巨大なクマ。
この画像が生成AIによるフェイク画像でした。

町によりますと、画像は、町内に事業所を置く企業の外国籍の従業員のLINEグループで共有されていたもので、これを信じた従業員が上司を通じて町に情報を提供しました。

提供を受け、町は、「画像が偽物の可能性もある」と懸念を示していましたが、Xを更新し、注意喚起。
しかしその後、画像を作成した本人から、「生成AIで作成したフェイク画像だった」と申し出があったということです。

一連の問題についてSNSの虚偽情報に詳しい専門家は。

神戸大学 森井昌克名誉教授
「送られた画像が本物なのかどうかをやはりしっかり確かめる必要があったが、それを怠ってしまった。今クマの画像、町にクマが出没しているということを出せば、どういう風な混乱が起こるのかということをある程度想像してやはり出すべきだった」

クマが出没したとされた場所の近くにある保育所では、クマの侵入を防ぐため、机やいすで「バリケード」をつくる準備を進め、園児を早めに帰宅させるなど対応に追われました。

町を驚かせた今回の騒動。画像を作成した人の責任については…。

神戸大学 森井昌克名誉教授
「AIで作った人が明らかに悪意を持って公表したということであれば、罪に問うことはできますけど、おそらく今回はそういう風なことではなく、冗談として画像を作ってそれを友達に送ったということなので、なかなか罪に問うのは難しいと思う」

専門家は、自治体にも確実な情報発信が求められると指摘します。

神戸大学 森井昌克名誉教授
「今回の画像ですと、よく見ればクマの影がどうもおかしいというところもありますし、あるいは側溝の溝がバラバラに映っているようなところもあって、やはりこれは偽造された画像だってことは分からなくもない。自治体の情報となるとそれは信じざるを得ない。そういう意味で自治体の方は、しっかりとした情報を裏取りして、確実な情報を出すことが大事だということ。そういう点で自治体には大きな責任がある」

町は、「今回の情報発信は緊急の情報として町民の危険を防ぐため発信したものですが、今後は情報の真偽も含めて確認の上、正確な情報発信に努めてまいります」とコメントしています。

仙台放送
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