大手食品メーカーが、山陰で愛される味を再現した商品を売り出しています。
鍋つゆにカップ麺。
なぜ全国規模の企業がローカルの味を掘り起こすのか、そのワケを探りました。

寒くなると恋しくなるのが、鍋。
これからの鍋シーズン、家庭で活躍するのがパウチタイプの鍋つゆです。
各メーカーが様々な商品を展開するなか…。

福村翔平記者:
松江市のスーパーです。ありました!目立つところに美保関漁師鍋つゆ!相当力を入れて売り出されています。

大手食品メーカー・日本食研が今シーズンから販売を始めた「美保関漁師鍋つゆ」。
パッケージには、松江市美保関町にある美保神社の祭神・恵比寿様、さらに美保関の伝統神事・諸手船神事が描かれています。

透き通ったつゆは、ノドグロのエキスを使った醤油がベース。
定番の鍋野菜と、エビやタラなどの魚介類がオススメの具材です。
その味は…。

福村翔平記者:
コク深い醤油の味わいですね。あらゆる鍋つゆを食べてきましたが、魚に合うというのは珍しい気がします。さすが漁師鍋を謳っているだけあります。

なぜ美保関をテーマに商品開発したのか。
メーカーの担当者に聞きました。

Q.そもそも美保関の漁師鍋って存在する?
日本食研小売商品開発グループ・徳原将弘グループリーダー:
美保関の鍋といえばこれだっていうものがなかなかなかったので、少し言ってしまうと創作の鍋にはなってしまうので、地元の方々とお話を聞きながら作り上げていった。

この商品は、日本食研が展開する郷土鍋シリーズの一つ。
両国ちゃんこ鍋、博多もつ鍋、鹿児島豚しゃぶなどメジャーな鍋料理が並ぶ中、美保関の漁師鍋は若干、マイナーな感じがしますが…。

日本食研小売商品開発グループ・徳原将弘グループリーダー:
まだ多く知られていない郷土であったり、その鍋を広めていくというのも、弊社がやっていくべきことの1つかなという風には考えております。

地域発掘の思いだけではなく、もちろんビジネスの側面もあります。
焼肉のたれで有名な日本食研ですが、年々拡大する鍋つゆ市場においては後発組。
郷土鍋シリーズで商機を掴もうとしています。

日本食研小売商品開発グループ・徳原将弘グループリーダー:
(例えば)同じキムチ鍋をやっていったのでは、より強いメーカーさんに勝てないなというところで、他社さんと被らないという点で、郷土鍋と言えば日本食研という地位を築きたいなという狙いがある。

大手企業が地元の味を掘り起こす例は鳥取にも。
鳥取市気高町にあるラーメン店「ホットエアー」。
世界的グルメガイドブック『ミシュランガイド』で、価格以上の満足感がある店「ビブグルマン」の称号を獲得したこともある人気店です。

看板商品は鶏のうま味を丁寧に引き出した特製スープが自慢の塩ラーメン。
実はこの名店の味が…。

ホットエアー店主・吉田克己さん:
カップ麺までいくとなると認知されてないと出てこない話だと思っていたので、それが来たというのはすごく嬉しいです。

なんとカップ麺になりました。
11月からコンビニチェーン・ローソンで全国発売されています。
商品化したのは、あの「サッポロ一番」でおなじみの「サンヨー食品」です。

ホットエアー店主・吉田克己さん:
ちょっとやっぱり涙が出そうになりました。

カップ麺を出すことが夢だったと話す吉田さん。
サンヨー食品にスープの材料やレシピを惜しみなく伝授して、こだわりの味の再現に協力しました。
その完成度は…。

杉谷紡生記者:
いただきます。おいしいです。鶏だしを中心とした奥深いスープの味わいが再現されています。

なぜ大手ラーメンメーカーが鳥取のラーメン店に着目したのか…。

サンヨー食品マーケティング本部・寺田俊哉さん:
地方で人気になってるお店を掘り起こしを始めたのって、おそらく、いわゆる大手ラーメンメーカーの中では弊社が結構先駆けの方だったのかなというところは自負しております。

地方に眠る人気のラーメンを発掘したい…今回も即席麺業界を牽引するトップランナーとしての熱い思いからでした。

サンヨー食品マーケティング本部・寺田俊哉さん:
最初は本当に売り上げみたいなところで見てたんですけれども、その結果として非常に喜んでいただけるっていうのがありましたので、弊社も喜んでいただけるとやっぱり嬉しいもので、こういった色々掘り起こしを続けてるようになります。

ローソンと協力して全国のラーメン店の味をカップ麺化しているサンヨー食品。
中でも今回のホットエアーはかなりの反響で、発売から3週間経ちますが、想定の倍以上の売れ行きだといいます。
ホットエアーとしても、カップ麺の宣伝効果に期待しています。

ホットエアー店主・吉田克己さん:
全国津々浦々のローソンさんで販売ということですので、うちの店だけでなく山陰や鳥取のPRになったらいいなと思います。

地域で愛される味を掘り起こそうという大手企業のビジネス展開。
地方にとって、それは全国区になるチャンスであることは間違いありません。

TSKさんいん中央テレビ
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