数百年前のソバの実から復活させた“幻のそば”をきっかけに始まった交流が、2025年も行われた。東日本大震災で被災した福島・大熊町の人たちが、山形市で幻の「天保そば」を味わった。
「天保そば」は、福島・大熊町の旧家の屋敷で27年前の1998年に発見された江戸時代のソバの実を、山形市のそば職人が譲り受けて復活させたもの。
山形市の鈴木製粉所は、震災の復興支援として大熊町の人を招待し、天保そばを味わう交流会を2014年から続けている。
25日、大熊町の住民約60人が招かれ、10月に収穫したばかりの天保そばの新そばが振る舞われた。
(参加者)
「香りもいいし、ゆでたてだし最高です」
「おいしい、相変わらずだ。みんなと顔を合わせられて良かった」
福島第一原発事故の影響で、大熊町では現在も住民の9割以上が福島県の内外に避難している。
交流会は再会を心待ちにしている町民たちにとって、大切な行事となっている。
(参加者)
「震災当時よりみんな落ち着いた状況になり、和やかな雰囲気で食事できるのは本当に良いこと。山形の人には感謝しています」
「これも大熊町の横川家から出たそばのおかげで、こんな時間がとれるのはありがたい」
(幻の山形天保そば保存会・石澤俊幸会長)
「大熊町民が離ればなれで暮らしているので、それがそばを食べるためだけに集まってもらえるこの喜びで続けていける。大熊の人に来てもらえる、その流れは絶やさずに作りたい」
“幻のそば”がつないだ福島と山形の絆は、これからも続く。