東北大学大学院などの研究グループは、臓器に障害をきたすミトコンドリア病や、難聴などの患者の治療薬につながる臨床試験を、12月から始めると発表しました。
これは東北大学大学院医学系研究科の、阿部高明教授などの研究グループが発表したものです。
東北大学大学院医学系研究科 阿部高明教授
「現在までに100人くらいの患者さんでほぼ100%の有効性があること、どの部品どの疾患でも有効性があることから幅広く使える薬であると考えている」
そもそもミトコンドリア病とは、細胞でエネルギー生成の役割を担う、ミトコンドリアの働きが弱まることによって起こる難病です。
ミトコンドリアは各臓器にあるため、臓器によって症状が異なり、例えば、アルツハイマー病や難聴、神経疾患などを引き起こしますが、有効な治療薬はありませんでした。
研究グループでは、世界初の治療薬「MA-5」の研究・開発を行っていて、すでに第一段階として少人数の健康な成人を対象にした臨床試験を終えています。
12月から始まる実証試験は第二段階にあたり、少人数の難聴の患者を対象にします。
「MA-5」はこれまでにマウスなどの実験などで、すでに難聴に効果的であることが示されていて、人の聴覚にも有効であるかどうか、今回の試験の結果が注目されます。
東北大学大学院医学系研究科 阿部高明教授
「臨床試験がうまくいけば、そのあとの目的として聴力や筋力低下、認知症、動脈硬化などの薬への展開も可能かもしれない。その面も含めて今後この薬の開発を進めていきたい」