全国でクマの被害が相次ぐ中、SNSでは生成AIで作られたクマの動画が拡散されています。
誤った情報で危険を助長しかねない「偽動画」に波紋が広がっています。
「クマ出没でけが」、「過去最悪の死者数」、「秋田に自衛隊を派遣」など、ここ数日クマのニュースを見ない日はありません。
7日も山形県米沢市の滑川温泉の旅館にクマが居座りました。通報からおよそ4時間後、猟友会によって駆除されたということです。
■新たに警察OBにも狩猟免許の取得を要請
各地でクマへの不安が広がる中、環境省は、これまで自衛隊OBを中心とした団体に、狩猟免許の取得を呼びかけてきましたが、新たに警察OBにも免許の取得を要請すると発表しました。
7日、石原宏高環境相は、「しっかりと緊急銃猟ができる人材を確保しなければならない」とコメントしています。
■生成AIによる「偽のクマ動画拡散」に注意
クマ被害への対策が進められる一方で、物議を醸しているのが「偽のクマ動画拡散」です。
【記者リポート】「SNSの動画サイトで『クマ』と検索してみるとクマに関する動画がたくさん出てきますが、中には生成AIで作成したとみられるニセの動画が多く見られます」
クマにエサを与える女性の「フェイク動画」。
【フェイク動画の音声より】「ほら、あっちにお行き!わかったね!」
■学生が子グマを抱く動画も
【フェイク動画の音声より】「見て見てカメラ目線、かわいすぎるー」
女子学生が子グマを抱っこする動画も。危険な行為に見えますが、生成AIで作られたフェイク動画です。
■ニュース速報のような動画も よく見るとおかしな点が確認できる
他にも「大阪市・淀川区の河川敷で」速報というテロップとともに、ニュースのようにナレーションが読み上げられていて、本物のようにも見える動画も。
【記者リポート】「大阪の淀川にクマが出たという内容の動画なんですが、こういった情報はなく生成AIで作られたものとみられます」
SNS上に数多くみられるフェイク動画。
よく見ると…AIの生成ソフトとみられるロゴが表示されていたり、看板の文字が日本語でないなどおかしな点が確認できます。
■フェイク動画は誤った認識を助長しかねない 「注意が必要だ」と専門家は指摘
こうした動画は誤った認識を助長しかねない内容で注意が必要だと専門家は指摘します。
【東京農業大学森林総合科学科 山崎晃司教授】「見ている人にものすごく誤解を与えるというのが一番の懸念。野生動物にエサをあげるのは絶対にやってはいけないこと。(クマが)人慣れしてきているのは事実。助長するようなことは絶対にしてはいけない」
■SNSに投稿・拡散で「罪に問われる可能性」
元大阪地検検事の亀井正貴弁護士によると、SNSに投稿・拡散した人が「罪に問われる可能性がある」ということです。
【亀井正貴弁護士】例えばその特定の店とか、特定の公共の場所にクマが出ているということを(SNSに)あげてしまえば、警察が出動しなければいけない、もしくは警察に通報するとなると、警察の業務を妨害する可能性がありますから、偽計業務妨害罪が成立する可能性があって拘禁刑3年以下ですから、結構重いので要注意ですよ。
(クマが)店の中で出てくる(内容であれば)店の業務を妨害するし、場合によっては名誉毀損罪が成立する可能性もあります」
(関西テレビ「newsランナー」 2025年11月7日放送)