北海道泊村の泊原発3号機が原子力規制委員会の安全審査に合格し、北海道電力が再来年の早い時期での再稼働を目指す中、原発事故が起きた際の備えも進んでいます。
懸念されるのが、住民の孤立です。
泊原発から北に30キロ。北海道古平町の「共働の家」。
知的障がいがある人など約50人が暮らしています。
体が不自由な人も少なくないため、原発事故の際、スムーズに避難できるのか心配しています。
「(町外への避難は)簡単ではないと思っています。車いす、寝たきりの方も増えてきていますし、一般車両では難しい部分。障害特性で皆さんと一緒に過ごせない人もいらっしゃると思うし。避難に関しては色々と課題がある」(古平福祉会 斉藤亮さん)
さらに施設は山の上にあります。
避難する場合に使う道路は、地震で山が崩れる可能性がある「土砂災害警戒区域」に含まれています。
課題はさらに…
「古平町では、札幌方面へ向かう国道が1本しかありません。地震や津波で道路が寸断された場合、孤立する可能性が高いことが懸念されています」(蒲生美緒記者)
そこで、共働の家では原発事故の際、屋内退避するための備えを進めています。
「こちらが1棟めのフィルター棟ですね」(斉藤さん)
空気中の放射性物質を除去する「フィルター装置」のほか、放射線を防ぐ「防護壁」などを設置。入所者だけでなく町内の高齢者や障がいのある人も受け入れることにしています。
「最低限のライフラインを絶やさないでいただけさえすれば、ここが一番の退避場所。(災害時)どうしても一番弱い立場の人にしわ寄せが来る現実はあるようですから」(古平福祉会 青柳修平さん)
町も避難について課題を感じています。
「(町は住民の)一週間分の備蓄品を蓄えるということまでかな。人口2500人がスムーズに移動できるよう、国、北海道に対策を求めていきたい」(古平町 細川正善副町長)
「いま支援物資が入った袋を積んだドローンが飛び立ちました」(蒲生記者)
泊原発3号機が安全審査に合格したあと、初めてとなる防災訓練。
1.4キロ離れた場所から「共働の家」までドローンで物資を運びました。
「安心ですね。寸断されてもドローンで来れるのが確認できたので。まずはここから次に向かっていきたいと思います」(斉藤さん)
「孤立化した状況のなかでいかに物資搬送を行っていくかという観点から、ドローンで20キロを超える重量のものも緊急的には運べる。時代のニーズに即した万全の準備を絶えずしていかなければならないと思っています」(北海道 鈴木直道知事)