憧れのオレンジコートへの切符をかけて、春の高校バレー山形県代表決定戦が10月11日に開幕する。部員の約半数を、高校からバレーを始めた未経験者が占める鶴岡工業男子バレーボール部を引っ張るのは、別の種目で全国大会出場を果たした3年生だという。

未経験者と経験者が高め合う鶴工
鶴岡工業高校バレーボール部。
現在の部員は11人。その約半数の5人が高校入学後にバレーボールを始めた選手。
オポジット178センチ・2年生・五十嵐陸人選手:
部活動見学の時にバレー部を見学に来て、先輩たちが良い雰囲気でやっていて、自分もやってみたいと思った。

オポジット166センチ・1年生・平山雅久選手:
中学校に男子バレー部がなくて、けっこう難しいが慣れれば楽しさもわかる。
先輩も優しいので頑張れる。

そう1・2年生が話すように、未経験者でもバレーボールを始めてみたいと思える雰囲気が鶴工バレー部にはある。
小山剛史監督:
初心者の選手が入ることによって経験者の刺激になって、お互い切磋琢磨する。
非常に良い状況で活動できている。

3人の3年生中心に県総体3位
鶴岡工業はこの春、県高校総体で躍進。
準決勝で、優勝した山形中央に敗れはしたものの3位に入った。
そんなチームを支えるのは3人の3年生。

身長185センチ・最高到達点3メートル25センチ、キャプテンでエースの安野響(ひびき)選手。
クロスよりさらに鋭い角度でボールを打ち込むインナースパイクと、強烈なサーブを武器にチームを引っ張る。

アウトサイドヒッター185センチ・3年生・安野響選手:
どんなトスでも決められるようなパワーも器用さもあるプレーヤーだと思う。
エースとしてのプレッシャーはないが、しっかり責任を果たせるプレーヤーになりたい。

さらに、アウトサイドヒッターとしてスタメンに名を連ねる伊藤大悟選手は、ここ一番で見せるブロックと安定したレシーブでミスの少ないプレーが特徴。

アウトサイドヒッター179センチ・3年生・伊藤大悟選手:
高校からバレーをはじめた分、スパイクよりレシーブに力を入れてきた。
今まで練習してきた成果を、試合で発揮できるよう頑張りたい。

ビーチバレーで視野の広さ・かけ引き学ぶ
伊藤選手と安野選手は、「ビーチバレー」のコンビでもある。
鶴岡工業では基礎技術の向上や試合のかけ引きなどを学ぶため、ビーチバレー種目にも積極的に取り組んでいる。

小山監督は、「“自分で拾ってトスを上げてもらって自分で打つ”というバレーボールの基本をしっかりつかむという要素が一つ。“視野の広さ”“かけ引き”などを学ぶ絶好の機会と考え、鶴工として取り組んでいる」と話す。
2人は、国民スポーツ大会の東北予選で準優勝し本大会への出場を果たすなど、ビーチバレーで2度全国の舞台を経験している。

伊藤選手は「全国大会はなかなか経験できないので、とても良い経験だった」と話し、安野選手も「ビーチバレーで、体の使い方やネット際の処理・攻撃の仕方も自分ではうまくなったと思う」と、バレーボールに生きる技術を会得したという。

セッターにスイッチした司令塔にも注目
さらに、もう1人の3年生・丹野颯(はやて)選手。
もともとは攻撃的な役割のオポジットだったが、ボールタッチを評価され2年次からチームの司令塔・セッターを任されている。

セッター168センチ・3年生・丹野颯選手:
ボールの下に入ること、足の動き・トスの振り方・基礎の部分がすべて違うので苦労した。
時間差やバックアタックなど、コンビが決まるところを見てほしい。

経験不足をビーチバレーで培った“技術”や“戦術”で補う鶴工バレー部。
キャプテンの安野選手が「全員の集大成」と話す春高の舞台で、県総体の勢いそのままに、県でしっかり勝てるチーム・決勝進出を目指す。

鶴岡工業・男子は10月11日の初戦で新庄北と対戦する。
(さくらんぼテレビ)