SNSで活動する人たちを狙い、実在する企業をかたってPR投稿などを依頼し、金をだまし取る案件詐欺。「イット!」が取材したのは、60万円もの高額報酬をうたった案件詐欺の被害報告だった。被害者は「顔が見えないからこそ、言葉でうまく誘導された感じはあった」と当時の状況を振り返る。

高額報酬うたい…相次ぐ“SNS案件詐欺”

フードイラストレーター・まるやまひとみさん:
最終的には60万円という報酬額になりました。(Q.この金額は?)珍しいと思います。思ったより提示された報酬額が高額だなという印象はやっぱり受けましたし…。

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被害を訴えるのは、インスタグラムやXで、飲食店や調理器具のPRイラストなどを投稿しているフードイラストレーターのまるやまさん。

8月、実在する海外企業の名をかたった犯行グループに依頼されたのは、コーヒー器具のPR案件だった。

まるやまひとみさん:
ちょっと今どきな、スマートフォンと連動して使えるコーヒー器具みたいなのがあるんですが、その製品を使っている様子をPRしてもらいたいって。

SNSで約10年活動し、これまで数十件もの企業案件を受けてきたまるやまさん。
そんなまるやまさんがこの時気になったのは、60万円もの高額報酬と、先払いだったことだった。

まるやまひとみさん:
先払いなんだ、へ~っていう感じで、実際に投稿もまだしていない段階なのに先に支払われるんだなっていうのは、今考えればそこの時点でおかしいなって。

「報酬を先払いするため」と、相手が指定してきたネット決済システムを利用すると、口座凍結トラブルが起きたと告げられる。

まるやまひとみさん:
出金申請をしたところメールが来て、「(口座が)凍結しました、出金できません」と。口座番号が間違っていると言われるんです。

実はこれ、一連の案件詐欺の特徴的な手口だったのだ。

まるやまひとみさん:
最終的にあなたの口座番号を正しいものにするので、確認するために一度、報酬額の50%を振り込んでくださいと。

初めての展開に気が動転したまるやまさん。
「すぐに返金される」との言葉を信じて、報酬の半額にあたる30万円を振り込んでしまう。

指定された振込先は、大手銀行の札幌支店。
しかも、個人名の口座だった。

まるやまひとみさん:
個人名だったというのもあったので、そこでもやっぱり怪しいと思うべきだったが振り込んでしまいまして…。

その後も、トラブルを理由に追加入金を迫られたため家族に報告。
詐欺だと確信し、警察に相談した。

まるやまひとみさん:
やっぱり個人情報が取られているので、不安要素に思って一応、警察署に電話をかけた。

メッセージだけでの契約は要注意!

犯行グループが名前をかたったのは、海外のコーヒー機器メーカー。

日本の代理店を取材すると、「7月ごろからPR案件についての問い合わせが来るようになったが、弊社では現在、報酬を支払うPR活動の依頼はしていない」と回答。

実在するさまざまな企業名をかたって、SNSの配信者を狙う案件詐欺。
LINEなどに誘導し、メッセージのやり取りだけで契約を進める手口には注意が必要だ。

まるやまひとみさん:
「絶対に気づけたはずなのに何で引っかかったんだろう」とか自分を責める。顔が見えないからこそ、言葉でうまく誘導された感じはあったかなと。

(「イット!」9月2日放送より)

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