九州新幹線「新鳥栖-武雄温泉」間の整備方式やルートの問題をめぐる佐賀・長崎・JR九州のトップ会談が開かれた。財政負担の課題などについて「3者で国に訴えていく」ことで意見が一致。国の対応が注目される。
膠着状態打開へ…2度目のトップ会談
佐賀・長崎・JR九州のトップ3者による意見交換は、2024年5月13日以来、1年3カ月ぶり2度目の開催。

長崎県の大石知事とJR九州の古宮社長が8月19日、佐賀県庁を訪れ、九州新幹線長崎ルート「新鳥栖―武雄温泉」間の整備方式やルートについて、佐賀県の山口知事と約1時間にわたり非公開で意見を交わした。

佐賀県は多額の費用負担と在来線の利便性低下などを理由にJR佐賀駅を通るフル規格に反対している。

今回の意見交換に先立って山口知事は8月8日、計画が不透明になっている北陸新幹線について言及し、「決まったことでも問題が起きるので、いい加減な決め方はしたくない」との考えを示していた。

今回のトップ会談では、ルートや財政負担の問題が顕在化している北陸新幹線をひとつのテーマに意見が交わされた。

JR九州 古宮洋二社長:
財源問題については北陸新幹線と九州新幹線は条件が違うので、財源問題についてはわれわれの3者で国の方に働きかけていく方がいいのではということを話した

国やJR九州と同様、JR佐賀駅を通るフル規格での整備を求める長崎県は、合理性の高さを改めて主張し、議論の材料にするためにもアセス(環境影響評価)を国の負担で行うべきとの考えを示した。

長崎県 大石知事:
実際にどれくらいかかるのかといった試算を国に求めるべきではないかと提案した。アセス(環境影響評価)に関しては実証していかないといけない。どういう方向に進むにしてもそれはやっておくべきではないか

一方、山口知事は今回の意見交換について次のように述べた。
「3者で国に訴えていく」
佐賀県 山口知事:
3者ともに国の責任で頓挫したといううちの特殊理由だから、それに対して国に対し追及していこうというところでは一致した。やみくもに進めても後で問題が発生することになるので、ここできっちりと3者で、もしフル規格で何かやるのであれば、しっかり合意をした上でやらなければいけないというふうに申し上げた

このトップ会談の後日、8月21日に開かれたJR九州の会見で古宮社長は次のように述べ、「大きな前進だった」と評価した。

JR九州 古宮洋二社長:
北陸新幹線とは前提が違うことを我々は国にどんどん訴えかけていかないといけないのではないかと、議論としては一致したので、これは大きな前進だった
「財源は大きな問題だと互いに認識」
一方で、JR九州の古宮社長は、ルートや財政負担の問題については国が佐賀県にしっかり話をすることが大切であることに加え、3者でまとまって国に訴えていくべきとしている。

また長崎県の大石知事が求めるアセスの実施については、「ルートを早めに決めそれに向けたアセスを早くやることは大事」とし、まずはルートを決めることが前提とした上で、佐賀駅ルートが望ましいと改めて強調した。

JR九州 古宮洋二社長:
財源は大きな問題だとお互いに認識したので、これについては非常によかった。あとはこれをどうしていくか方法論のところで、まだ一致点が見出せていなかった、そこを今後話していこうと
今後の3者の意見交換については、できるだけ早い時期に実施したいとしていて、国に対し新たな議論につながるよう提案してほしいとしている。
(サガテレビ)