お好み焼き店やたこ焼き店といった“粉もん”店の2025年の倒産件数は、2024年の同じ時期に比べて3割増加し、過去最多ペースとなっている。
「粉もタコも値上がり」
アツアツの鉄板に、だしのきいた生地を流し込み、外はカリッと、中はトロトロに焼き上げた「たこ焼き」。

そんな庶民の味として親しまれる“粉もん”が今、物価高で危機に直面している。
NAKANO DEGE(東京・中野区)・谷田真吾オーナー:
お待たせしました!ソースです!
常連客:
おいしいです!関西ぐらい味濃いのが好きです、僕は。なので好きな味に近いたこ焼きです。
常連客:
熱っ!つけだれは僕はここでしか食べたことないんで。このたれ自体も結構おいしいんですよ。
この店のセールスポイントは、自慢のたこ焼きとオーナーの人柄。
NAKANO DEGE・谷田真吾オーナー:
「たこ焼きみたいな人がたこ焼き焼いているでしょ」って言われるために、僕わざと太ったから。
「うまっ」みたいなのが聞こえたら、(自分は)会話入ってないですけど、「ありがとうございます」って言っちゃいます。

常連客でにぎわう店内だが、店は11月に営業を終えることが決まっている。
NAKANO DEGE・谷田真吾オーナー:
いっぱいいろんな人に来てもらったんですけど、それと営業続けるってことは、またちょっと違うので、それの矛盾さ・大変さがありますね、やっぱりね。好きで楽しいだけじゃ営業はできないなって…。

東京商工リサーチによると、お好み焼き店やたこ焼き店といった、“粉もん”店の倒産件数はコロナ禍で増えたあと、いったん減少していたが、2025年の倒産件数は2024年の同じ時期に比べて3割増加し、過去最多ペースとなっている。

店側の負担要因として、オーナーは物価高の影響を挙げた。

NAKANO DEGE・谷田真吾オーナー:
この粉自体も値上がりしてますね。6年間で1kg1000円くらい。タコも(1kg)1000円くらい上がってますね。紅しょうがもそうですけど、安いものを見つけないと(価格が)全然違うので。

値上がり幅が特に大きいのが、たこ焼きの命ともいえる粉やタコ。
店がオープンした6年前と比べると、仕入れ値は1kgあたり、それぞれ1000円ほど上がっているという。

さらに、ほかの食材も軒並み値上がりし、2024年と比べると、食材費は6割もアップ。
しかし、今の価格以上での提供は考えられず、やむを得ず閉店を決めたという。

NAKANO DEGE・谷田真吾オーナー:
もちろん味で勝負してるんですけど、狭い店で安く、やっぱり中野という街がそういう街なので、気軽に楽しんで飲めてというので、値段が上がってしまうと、本来やりたかったものと違うし…。

約3カ月後に迫る閉店。
常連客も慣れ親しんだ店の味をかみしつつ、さみしさを口にする。
常連客:
ふらっと立ち寄れる場所がなくなるので、割とさみしいですね。
閉店後は、2階のカラオケバーでたこ焼きの提供を続けるとしているが、物価高の影響は続きそうだ。
(「イット!」8月27日放送より)