宮城県富谷市が行っていた総合病院の誘致についてです。
富谷市は8月20日、「東北医科薬科大学」を運営事業者の候補に決定したと明らかにしました。

富谷市 若生裕俊市長
「学校法人東北医科薬科大学が候補予定者として決定したことを報告します」

会見で安堵の表情を見せた若生市長。市の公募に対し、正式に応募書類を提出したのは東北医科薬科大学のみで、有識者による選定委員会での審査の結果、17日に全会一致で決定されたということです。

そもそも、この公募のきっかけとなったのは、県が主導した4病院の再編構想でした。この構想の中では、青葉区の東北労災病院と名取市の県立精神医療センターは併設する形で富谷市に移転する計画でした。
しかし、精神医療関係者による反対の声や、東北労災病院が現地での存続を決めたことから計画が頓挫し、今回の富谷市による公募に至りました。

東北医科薬科大学は、宮城野区福室と若林区大和町で総合病院を運営しています。大学はこの2つの病院を再編し、新病院には救急センターや内科・外科・整形外科・産婦人科などを備えるとしています。
病床については当初は140床とし、将来的には200床に増やす方針です。
また、外来では、小児科や精神科にも対応する予定で、若生市長は提案内容を高く評価しました。

富谷市 若生裕俊市長
「(診療科について)充実したご提案をいただけたことをうれしく思う。富谷町の時代から総合病院の誘致は念願であり、市民の皆さんの大きな願いでもあった」

仙台市や富谷市など14市町村を含む仙台医療圏では、11の地域医療支援病院のうち10の病院が仙台市に立地しています。
そのため、経営面や救急搬送時間に課題があり、例えば、黒川地域では、搬送時間が県平均の48.3分を上回る53.3分となっています。

20日午後、県が企画するイベントに参加した村井知事は。

村井知事
「救急搬送時間が非常にかかっている黒川郡にとって、朗報になったのではないかと思う。病院再編をずっと取り組んでいて、二転三転したが、非常に良い結果になったのではないかと思う」

富谷市は10月に東北医科薬科大学と覚書を取り交わし、来年4月には協定を締結したいとしています。その後、すでに市が取得済みの富谷市明石台の土地を引き渡し、新病院は2031年度に開院する見通しです。

また、運営事業者の決定を受け、仙台市の郡市長は
「病院規模や診療科など提案書の概要が公表されましたが、事業計画として確定したものではないとのことです。今後、本市の医療提供体制にどのような影響が生じるか情報収集に努めてまいりたいと考えております」
とコメントしています。

仙台放送
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