8月末までとされていた随意契約の備蓄米販売の期限が延長されることが発表されました。
販売店からは歓迎の声も聞かれる一方、高止まりするコメ価格への懸念も根強いようです。
◆小泉 農水相
「契約した数量を約束通り流通させることが農水省としての責任だと考えます。引き続き販売を希望する方については、引き渡しと販売の期限を延長することと致します」
小泉農水相は20日、8月末に販売の期限が迫っていた随意契約の備蓄米について、9月以降も小売店などの販売を認めると発表しました。
この一報に、福岡県宇美町にある米穀店の代表は…。
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「延長されてよかった。安心しました」
代表が安心したという理由、それは…。
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「11トン仕入れていた。残り3トンです。あと10日ぐらいなので、3トンはちょっと厳しいかなと」
政府が当初、設けていた備蓄米の販売期限は8月末まで。
この米穀店はそれを見越して6月に共同購入で11トンを申し込んでいましたが、備蓄米が実際に届いたのは9月初めでした。
それでもなんとか売り切ることができると思っていた矢先に…。
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「こちらがコメの自動販売機。備蓄米と普通のコメを販売している。お金を入れるところが壊れて、全部が販売できない状態になった」
8月に入りあてにしていた自動販売機が壊れてしまったのです。
24時間コメを販売することができ、店の売上の3割ほどを占める自販機。
備蓄米だけでも1日平均で200キロ売れるといいます。
修理に2週間ほどかかり、その間の自販機での販売がストップした上、注文をとれないお盆期間にも入ったため、販売計画が大きく狂い、期限内に売り切るのは難しくなっていたといいます。
そうした中、販売期間の延長が発表され、当初の予定量を売り切ることができそうだと話します。
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「客は安いコメを求めている方が多いので、うちとしても販売していきたい。残らず売れるのはいいことだと思う」
ただ、代表は喜んでばかりはいられないと話します。
それは今後の米価格です。
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「去年は業者が競争して値段が上がったけど、今年はスタートから高いので、下がる要素は少ないのかなと。今の時期にある程度の量を仕入れないといけないので、高いと競争がまた激しくなる。あまり高いと買い控えではないが…」
お盆明けから県内でも始まっている稲刈り。
去年からのコメ価格の高騰で今年の全国の作付面積は過去5年で最大となり、生産量も50万トン以上増える見通しですが、今年はそもそもその仕入れ価格が高くなっていて、その分、販売価格も高止まりする懸念があるというのです。
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「備蓄米が終わると、今年新米も高値で動いているので、販売価格は5キロ4000円前後、そういう価格帯に戻るのかなと思う」
新米が出回っても、高いまま推移する可能性もあるコメの価格。
生産者、販売者、消費者それぞれが納得できる値段に落ち着くには時間がかかりそうです。
街の米穀店も気にする新米の価格はどれくらいなのか、福岡のいくつかの店舗に聞いてみました。
福岡市東区のスーパー「エムズ」は8月に入って宮崎県産の「こしひかり」の新米、いわゆる早場米を販売していますが、5キロ税抜き4350円で、去年8月の新米と比べると1500円高くなっているそうです。
他の大手スーパーについても同じような価格でした。
一方の備蓄米は販売延長が決まったので、消費者としては割安なコメを買う選択肢が残りましたが、新米がこれだけ高い状態が続くと購入する人は限られ、安い備蓄米と高い新米という「買う側の二極化」も進みそうです。