スーパーなどで売られている備蓄米ですが、8月末までとされていた販売期限が延長される方針です。

流通にそもそも遅れがあるということで、8月末までに売り切れないという声が小売りから上がっていました。

では、気になる新米価格に影響があるのか取材しました。

街のスーパーなどで、山積み状態も見られる備蓄米。
販売期限が8月末に迫る中、新たな動きが。

埼玉・秩父市にある米販売店。
随意契約の備蓄米を20トン購入しましたが、現在5トン以上が残ってしまい、販売期限の8月中に売り切ることは難しいといいます。

こめや坂上・守屋太一店長:
売れと言われてもお客さま次第。うちとしてもどうにもできないこと。

売れ残った場合の対応を政府に問い合わせていたさなか、農林水産省が8月末までとしていた備蓄米の販売期限を延長し、9月以降の販売も認める方針を固めたとの一報が入りました。

こめや坂上・守屋太一店長:
率直にうれしいですね。特にお客さまも喜んでリピートで買いに来るお客さまも多かったので。(販売期限)延びたことで在庫が売れるので一番うれしい。返品作業も大変。

取材中、早速お客さんから「これ(備蓄米)いつまで(販売)なんだろ?」と質問があり、守屋店長は「8月いっぱいだったんですけど、少し延びて9月にも販売できるようになった。ただ9月頭には売り切れるかな…」と答えることができました。

随意契約で放出された備蓄米。
農林水産省は、新米の値崩れを防ぐため販売期限を原則8月末までとしていました。

しかし引き渡し作業などが追い付かず、申し込みがあった30万トンのうち、販売されたのはわずか3割程度にとどまっています。

さらに、18日に発表されたスーパーの米の平均販売価格が2週間ぶりに値上がり。
こうしたことが、販売期間延長の背景の1つとなったといいます。

農水省職員からは「引き渡しが遅れている中の値上がりで、延長するしかなかった。コメの価格は上がる一方で、もう材料は出尽くしてだいぶ苦しい」という話も聞かれました。

業者の中には、備蓄米購入の申し込みをキャンセルする動きも。
トライアルカンパニーは6000トンをキャンセル。
マミーマートは追加で申し込んだ2000トンを全てキャンセルしました。

販売期間が延長される見通しの備蓄米ですが、精米済みの場合、時間がたつことで味は変わらないのでしょうか。

こめや坂上・守屋太一店長:
環境によるが、涼しいところに置いておけば2カ月ぐらい。ただおいしく食べるには早めに1カ月くらいで食べた方がおいしい。

一方で気になるのが、新米の価格への影響です。

東京都内のドン・キホーテでは、2022年産の備蓄米を10kg税込み4191円で販売。
5kgだと約2100円程度に。

一方、新米の宮崎産コシヒカリはその倍以上。
5kgで税込み4515円です。

売り場にいた客からは、「備蓄米は気になってたが、これだけ市場に(他の種類が)出てると必要ないかな。残ってきちゃっていると思うと買いにくい」「(備蓄米)2000円いかないでほしい、5kgで。買うと思う。なくなってきたと聞いているので」「5kgで2000円、10kgで4000円。強みですね。新米が高値と聞いているので、自宅で備蓄米を備蓄しています」といった声が聞かれました。

取材中の2時間で売れたのは、備蓄米が12袋、新米は2袋でした。

備蓄米の販売期間延長について、宇都宮大学農学部の松平尚也助教は「割安な備蓄米の販売が延長することになるので、新米の価格は下がりすぎる可能性もある。単に延長するだけでなく、やはり期限等も延長の検討をしてほしい。米農家にとっては不安な販売期間の延長といえる」と指摘しました。

新米価格が下がるのは消費者にはうれしいことですが、小泉農水相がどのように説明するのか注目されます。