東日本大震災で児童と教職員、あわせて84人が死亡または行方不明となった宮城県石巻市の大川小学校で、追悼行事が開かれました。中心となった卒業生は、古里のつながりを取り戻し、新たな輪を広げたいと活動しています。
多くの子供や若者たちと、手を合わせているのは大川小学校の卒業生・只野哲也さん、25歳です。
津波に飲まれた只野さんは、この山の斜面にうちあげられ一命を取り留めましたが、3年生だった妹の未捺さんを亡くしました。ここは子供たちの遺体が見つかった場所でもあります。
只野哲也さん
「多くの子供たちがここの場所で、がれきの下から見つかったと言われているので、亡くなった方に祈りを捧げるならば、ここで手を合わせてからガイドをスタートのが、Team大川のガイドのスタイル」
只野さんが同級生などと協力し、3年前から開いている「おかえりプロジェクト」。亡くなった子供たちを追悼するとともに、地域の人が古里に戻るきっかけにしようと、お盆にあわせて開催しています。
ここでは、児童と教職員、あわせて84人が死亡または行方不明となりました。しかし、悲惨な出来事だけが起きた場所ではありません。授業があって、給食を食べて。休み時間は子供たちが走り回っていた、どこにでもある小学校でした。
只野哲也さん
「大川小でシャボン玉が飛ぶことで、子供たちもはしゃいでくれるし、大川がこういう場所だったんだろうなと、来た人に思ってもらえると思って、シャボン玉を取り入れている」
楽しかった記憶を、言葉以外でも表現することで、子供たちにも、命や防災の大切さに気づいてもらえると考えています。
埼玉から来た男の子
「シャボン玉がひとりひとり、これまで大川小にいた人たちの魂と思って、校舎に入ったときに、魂が戻ってきたと思いました」
只野さんは2022年、同級生などとともに、「Team大川未来を拓くネットワーク」という団体を立ち上げました。道路を挟んだ向かい側にある市の土地を借りて、コンテナを置き、生まれ育った大川に「遊ぶ・食べる・学ぶ」をコンセプトにした交流拠点作りを進めています。
只野哲也さん「きょうはどうですか皆さん?」
子供たち「楽しい!大川がやっぱ一番!」
日が暮れると、手作りの紙灯ろうに明かりを灯し、空に向かって、「おかえり」の文字を届けました。
福岡県から
「彼らみたいな若い人たちが、いろいろなアイデアを出して、これがもっと広がっていって、違った形の展開が広がっていくといい」
只野哲也さん
「100年続く『おかえりプロジェクト』にするには、子供たちがもう1回来たいとか、来年も一緒にやりたいと思ってもらえるものを続ける。これまでもこれからも変わらない大事なことかと考えている」
只野さんは、今後もこうした活動を続けて古里のつながりを取り戻し、命を思う輪を広げていきます。