宮城県内でクマの目撃情報が相次いでいます。登米市では8月17日、果樹園で収穫期を迎えたモモを食べるクマの姿が住民によって撮影されました。また、名取市では保育園の近くでクマが目撃され、不安が広がっています。
17日午後6時過ぎ、登米市中田町上沼の果樹園で撮影された映像です。モモを夢中で食べる1頭のクマ。一瞬、カメラの方を向く仕草を見せますが、こちらを気にせず、食べ続けます。
翌朝、現場を訪れると…。
記者リポート
「クマが上って折った枝です」
ポッキリと折れたモモの木の周りには、食い荒らされた果実が散乱していました。
この地区ではリンゴやモモの栽培が盛んで、カモシカやタヌキは頻繁に見かけるものの、クマに出没は初めてだといいます。
近所で果樹栽培
「他人事じゃないなと思いましたね。困りますね。1人で作業できないですね、怖くて鈴鳴らしながら、ハウスに水かけに行ったりも、きのうはやらない、怖いから、きょうも休んでいる」
「いま収穫時期で、モモの匂いが結構するからね。自分の家の近くまでまさか来るとは思わなかったね」
さらにこの果樹園から500メートルほど離れた神社でも、17日午前6時半ごろ同じクマとみられる1頭が目撃されました。
神社の関係者がクマよけの薬剤をまきにきた際に、境内をさまようクマを目撃したということです。
そして、18日午後1時ごろにも近くでクマが目撃され、この4日間の目撃情報は5件に上っています。
一方、名取市でも…。
記者リポート
「17日午後2時30分ごろ、名取市ゆりが丘のこちらの道路で、クマの目撃情報がありました。クマは東から西に逃げて行ったということです」
周辺は住宅地で交通量も多い場所です。さらに、この目撃情報から4時間後には…。
記者リポート
「17日午後6時20分ごろ、最初の現場から100メートルほど離れたあの辺りでもクマが目撃されています。すぐそばには保育園があります」
高舘あおぞら保育園 山内綾子園長
「シカとかイノシシのような野生動物の目撃情報は時折あるんですけれど、クマというのは今回初めてでした」
保育園では当面の間、子供たちを外で遊ばせないようにするということです。
高舘あおぞら保育園 山内綾子園長
「保育園周辺で目撃という情報が入ってきて、危機感が強まった、驚きました。これからどのように対応していったらいいのかなというのが正直なところです」
こうしたなか、宮城県は18日、今年度のクマの捕獲・管理計画を定めました。
ツキノワグマは計画的な捕獲や管理のため、「指定管理鳥獣」に去年追加されたことにより、国から県に交付金が支給されます。
県は10月から青葉区作並と栗原市栗駒であわせて10頭のクマを捕獲するということです。
県自然保護課 砂金義徳課長
「クマ保護と人身被害の未然防止、この両立という形で今後進めていくことになる」
また、9月からは市町村長の判断で、市街地に現れたクマを銃で駆除できるようになります。