九州大学大学院などの研究グループは6日、インフルエンザウイルスが体内で感染を広げていく際の新たなメカニズムを突き止めたと発表しました。
九州大学大学院の田村友和准教授と福原崇介教授や北海道大学大学院、大阪大学産業科学研究所の研究グループは、インフルエンザウイルスが体内で感染を広げていく際に、細胞どうしの“やり取り”を乗っ取ることを突き止めました。
ウイルス感染はごく一部の細胞から始まって徐々に周囲に広がりますが、その詳しいメカニズムはよくわかっていませんでした。
研究グループはこれまでに細胞内のカルシウムイオン濃度が上昇するとインフルエンザウイルスが感染しやすくなることを突き止めていました。
その上で今回の研究では、ウイルスに感染した細胞が、エネルギーのやり取りに関わる「ADP」(アデノシン二リン酸)を放出し、それを周囲の細胞が受け取ってカルシウムイオン濃度が上昇することを発見しました。
この現象はまるで伝言ゲームのように次々と隣接する細胞に広がり、この仕組みをウイルスが乗っ取り、感染を加速させていることが分かったということです。
将来的には「細胞どうしのやり取り」を標的とした新しい治療薬の開発にもつながる可能性があるということです。
研究グループは1度に数十万から百万個の細胞を同時に観察できる「超高視野高解像顕微鏡」を使って、こうした現象を突き止めたということです。