7月26日の夜、玄海町の玄海原発で“ドローンと思われる3つの光”とされる不審な飛行物体が目撃されました。原発の安全は確認されたものの、正体や飛来の目的はわかっておらず専門家は空の警備を強化するよう警鐘を鳴らします。
【玄海町民】
「ドローンらしきものということで何の目的でそういうことをするのかなと」
「えたいがしれないから怖い」
7月26日、玄海町の玄海原発に突如現れた“ドローンと思われる3つの光”。
【玄海町防災安全課 日高大助課長】
「核物質防護事案が発生しましたということで連絡が入った。何が起きたんだろうというのが第一印象」
九州電力は「原子力施設の運転に影響を及ぼすおそれがある」として「核物質防護情報」の通報を初めて行なう異例の事態となりました。
【長島】
「ドローンと思われる3つの光は最初あちらの正門付近で確認されたということです」
午後9時ごろ警備員4人が目撃し、その後常駐している警察の部隊も確認。
少なくとも約2時間は原発の構内などを飛行していたとみられ、発電所の南側で確認されたのを最後に行方がわからなくなったということです。
ドローンを取り扱う事業者は「謎の光」についてこう分析します。
【アイテムドローン事業部 山本祐也部長】
「ドローンの場合は灯火がついている場合がほとんど。あとはモーター音がした、そういった話から察するに、ドローンの可能性は非常に高いんじゃないかなと」
約2時間とされる飛行時間についてはー。
【アイテムドローン事業部 山本祐也部長】
「一般的に流通しているものでも大体最大50分〜1時間未満ぐらいの機体の方が多いので、一般人が買えるようなドローンではないのは事実かなと思う」
さらに、原発は国が法律で飛行を禁止しているエリア。
一般に広く流通している大手メーカーのものであればメーカーが制限をかけ飛ばせない仕組みになっています。
しかし今回飛行していることなどを踏まえると、謎の光がドローンだとしたら自作や規制外のものである可能性もあるといいます。
【アイテムドローン事業部 山本祐也部長】
「今回はかなり法に触れている感じはする。非常に多くの航空法違反の可能性というのはあるかなと」
全容は明らかになっていないものの、設備に異常はなく安全性に問題はないとする九州電力。
立地する玄海町は原発構内に落下物や不審物はなかったことに安堵する一方で、今回の事態に危機感を覚えています。
【玄海町防災安全課 日高大助課長】
「陸上からの侵入は厳重に警戒されているが、上空からの飛来という対策が不足しているのかなと感じている。電力事業者・国など、そういうふうな対策もしっかり考えていただきたいなと思っているところ」
光る物体の飛来による被害は今のところ確認されていませんが、危機管理に詳しい専門家は今後、同様の事態が起こる可能性はあるとして、重要施設における“空の警備”の強化が喫緊の課題だと指摘します。
【日本大学危機管理学部 福田充教授】
「ドローンなどを監視したり撃ち落としたり捕まえるというような措置ができる体制は、まだ日本では整っていない。今回の事例がドローンであったかどうかは別にしても、空からの脅威に対して日本の危機管理を構築していくことは重要」
玄海原発への“ドローンと思われる3つの光”の飛来で露呈した「空からの攻撃に対する脆弱さ」。
財政面や法整備などさまざまな壁はありますが、電力会社だけでなく国や自治体なども巻き込んだ対策への早急な着手が求められます。