7月30日、近畿各地で“酷暑日”に。

最高気温は京都府福知山市で40.6度、兵庫県西脇市で40.0度、丹波市柏原では観測史上最高となる41.2度を記録。

【街の人】「温暖化は遠く離れた世界かなと思ってたけど、これが当たり前になるのかな」

「40度超えの世界」で起きていたのは、遊具が過熱され遊べなくなった公園や車の故障に鉄道のレールのゆがみ…

気象予報士は「これから当たり前になるかも」と警鐘を鳴らしました。

■兵庫県丹波市で国内の最高気温を更新

近畿各地で猛烈な暑さが続く中、7月30日、兵庫県丹波市の柏原(かいばら)では最高気温41.2度を記録。

(Q.温度計は何度あります?)
【街の人】「40度ちょっと超えた感じ」

これまでの国内の最高気温41.1度を上回り、観測史上最も高い気温となりました。

【街の人】「永遠にお風呂に入っているみたい」
【街の人】「どんだけ水を飲んでも、のど渇く。めちゃくちゃ暑い」

近畿地方で40度以上の最高気温を観測したのは、1994年以来、実に31年ぶり。

このほか京都府福知山市、兵庫県西脇市の合わせて3カ所で40度以上を観測しました。

【街の人】「『暑い、暑い』言うとあれなんで、『寒いよ』と、あいさつしてます」

■子供が外で遊べない ブランコは60度、滑り台は70度

大阪で最も暑い最高気温39.2度を記録した枚方市では…。

【記者リポート】「公園の温度計には40度と表示されています」

温度計40度を示す公園。そんな中ブランコで遊ぶ子供の姿が。

(Q.お尻熱くない?大丈夫?)
【ブランコで遊ぶ子供】「うん…」

しかし、その数秒後…

【ブランコで遊ぶ子供】「暑い…」
【記者】「やっぱ暑いよね…」

それもそのはず。ブランコの温度を「サーモグラフィーカメラ」で見てみると、周辺は真っ赤で座る部分は、60度まで上昇。

さらに滑り台は陽の当たる部分が、なんと70度に。

これには子供たちも…。

【小学生】「暑くなって枚方モールに行った」「暑すぎて遊べん」「遊べない」

子供たちが外で遊べなくなるかもしれない!?

■信じがたい気温40度越えの世界 学校の休校や ひよこのふ化も

「気温40度超えの世界」では、どんな異変が起きているのか?

7月1日、最高気温41.4度を観測したフランスでは、2000校もの学校が休校に。

また、これは中国・山東省で投稿された映像。

ある家で、2日間留守にしている間になんと、卵からヒヨコがふ化したというのです。

信じがたい事が起こりうる「40度超の世界」。

■急増する車の故障 バッテリーが上がる・発電機の故障・タイヤがバースト

日本でもすでに異変が起きています。

【街の人】「車のバッテリーが上がってしまって。さっきまで動いてたのに急にって感じで!ドーナツも買ったのに、中でグチャグチャ…」

31日、滋賀県大津市ではドライブレコーダーが暑さで機能停止に。暑さで車の故障が急増しているのです。

30日、兵庫県西宮市にある住宅街では車の点検作業が。

【セイビー 川端裕也整備士】「バッテリーがどうしても夏になると上がりやすい」

出張整備を行うこちらの会社では、今の時期、修理の依頼が去年に比べ4割増え、車の点検は倍以上に。

40度を超えるとバッテリーが上がる、発電機の故障、暑さでタイヤが破裂するバーストが増える恐れがあるといいます。

さらには。

【セイビー 川端裕也整備士】「車内で、たまにあるのはライターとか、熱に弱いものが中で爆発して、火災などがあり得る」

これは気温27度での実験映像ですが、モバイルバッテリーなど、リチウムイオン電池の製品は熱に弱く、車内に放置すると…発火します。

気温40度にもなると、こうした発火の危険性も高まるのです。

■レールが熱で伸びゆがむ

そして車だけでなく「列車」にも影響が。暑さが続く中、きょう=31日、線路上で点検が行われていました。

【近畿日本鉄道施設部 内海雄太さん】「ボルトのゆるみの点検をしたり、(レール間の)隙間を確認しています」

鉄でできたレールは、熱で伸びる性質があるため、レールの継ぎ目には隙間が作られています。ただ、想定外の暑さでレールが伸びすぎると、隙間で伸びを吸収できず、大きくゆがんでしまうことがあります。

JR西日本では7月、レールがゆがみ、一部区間で運休する事態も起きました。

(Q.気温が上がれば伸びる量も増える?)
【近畿日本鉄道施設部 内海雄太さん】「当然伸びる量は増えます。想像できない暑さに年々なっていますので、保守管理していくしかないので、日々点検を行っています」

■夏の必需品エアコンが暑さで故障

さらに夏の必需品にも異変が…暑さでエアコンが停止!?

【BAR S.W.A.T. 佐藤代表】「今回故障したエアコンです。停止してます」

こう話すのは富山県にあるバーの代表。先週土曜日に、店のエアコンが突然動かなくなったといいます。

【BAR S.W.A.T. 佐藤代表】「動いても、ぬるい風がふわっと出るだけで、エアコンとしては機能してないです。屋上に設置してある室外機のまわりに、囲いも影になるビルもないんで、ずっと日が当たり続けてる感じ。(業者に聞くと)基盤とか、ファンモーターが焼けるのは多いらしい。しんどいですね正直な話。店の中でも熱中症になりかける」

■国内の規格では運転条件として『室外の気温43度』

異常な暑さがエアコンの止まる原因となるのか?大手エアコンメーカーに聞いてみました。

【ダイキン工業広報 野田久乃さん】「国内の規格では運転条件として、室外の気温43度の運転条件で運転させるということが定められている。室外機が置かれている状況で、直射日光が当たりやすかったり、周りに熱がこもりやすい状況でになってしまって、まれに(停止)装置が作動したり、冷えにくくなったりする可能性はあります」

暑さ対策に欠かせないエアコン。

ダイキン工業では、5年ほど前から50度まで対応できる製品を販売していますが、「私たちも室外機のまわりを涼しくするなどの工夫が必要だ」といいます。

■40度を超えると…「神経症状、意識障害に至るプロセスが早まる」と専門家

一方で「私たちのカラダ」にはどんな影響があるのでしょうか?

「40℃超えの日本列島でヒトは生きていけるのか」の著者で、体温に詳しい専門家は。

【順天堂大学スポーツ健康医学研究所 永島計客員教授】「(暑いと)神経症状や意識障害が出たり、どんどん悪くなってくる。(40度超えると)そこに至るプロセスが早くなる。(街に)風の通りを作るとか、社会的なインフラとか、広く(対策を)やっていかないといけない」

命の危険もある「40度超えの世界」。

それが当たり前になる日はやってくるのでしょうか?

■「40度超えの世界は当たり前になってきている」

片平気象予報士はこの暑さについて、「地球温暖化」の影響が大きく、「40度超えの世界は当たり前になってきているのでは」と指摘します。

【片平敦気象予報士】「日本の平年気温を見ると、100年前は気温が低かった。特に2000年以降は高くなってきて、2023年と2024年はぶっちぎりで高くなっている。ここ2~3年は、5、6年前まではなかったような暑さがやってきているということで、40度超えの世界というのが当たり前になってきているんじゃないかという状況です。

原因として一番考えられるのは、地球温暖化。気候変動というものです。特に街中の都市化の影響もありますから、一層気温が高くなりやすいです。

地球温暖化は二酸化炭素が大きな原因と言われています。減らす努力を世界的に頑張ってますけど、頑張っても緩やかに上昇するのは変わらないので、すぐには止まらない。我々の生活を何とか変えていくアプローチもしていかなくちゃいけない状況です」

■お盆を過ぎてもまだまだ暑さは続きそう

この先、お盆ごろまでの大阪の天気予報です。

【片平敦気象予報士】「来週にかけても暑いです。大阪の気温の予想ですが36、37度が続きます。お盆にかけて35度前後でまだまだ暑さの終わりは見えないと思っていただきたいです」

■子供の気温は大人より7度高いというデータも

子供(が感じる)気温は大人より7度高いというデータもありそうです。

保育園を経営する起業家の山本園子さんは、自身の保育園での熱中症対策について述べました。

【山本園子さん】「小さなテラスが私たちの園にはあるんですが、日よけをして、氷水のボールを置いたり、氷水を霧吹き代わりにして、楽しく五感遊びをして、熱中症対策をしながら楽しく保育ができるようには工夫しているので、ご家庭でも工夫していただけたらと思います」

【片平敦気象予報士】「子供たちの様子は特に大人がしっかり見てあげて、目を離さないということが一番大事だと思います」

(関西テレビ「newsランナー」 2025年7月31日放送)

関西テレビ
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