長崎大学病院がドナーから提供された肝臓をよりよい状態で保存できるシステムを研究・開発し、国内で初めて移植手術に成功したと発表しました。

長崎大学病院は1997年から肝移植を383例行っていて、移植可能な臓器を増やす研究などにも取り組んでいます。

今年5月、国内で初めて「臓器灌流保存システム」を使い、脳死した40代の男性から50代の男性患者への肝移植に成功したと明らかにしました。

これまで手術の準備では移植する肝臓を保存液に浸していましたが、新しいシステムでは肝臓の動脈と門脈に酸素を含む低温(8度から12度)の保存液を流し込むことで、組織のダメージなどを防ぎます。

長崎大学病院 肝胆膵・移植外科 曽山明彦 准教授
「ここに血管があるので、このような形で(管を)挿入するということになります」「灌流液がずっと流れる。この冷たい保存液がずっと灌流していくということになります」

肝臓をよりよい状態で保存でき、移植後、肝機能がより早く回復することなどが期待できます。

曽山明彦 准教授
「(術後の)合併症が少なくなる、初期の立ち上がりがよくなるとか、術中の循環動態が安定するとか、そういう効果があると」

患者は術後の経過は良好で、すでに退院しています。

脳死ドナーからの肝移植は国内で年間約100件ですが、移植を待つ患者は約500人いて、長大病院は安全かつ、低コストな移植の実現につなげたい考えです。

テレビ長崎
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