普天間基地の名護市辺野古への移設に向け、沖縄防衛局が大浦湾側の軟弱地盤の改良工事として砂杭を打ち込む作業を開始してから29日で半年です。
大浦湾ではこの1カ月、作業船は悪天候などで現場海域を離れていて作業は進んでおらず1月の時と比較すると違いは一目瞭然です。
政府は大浦湾の埋め立てには9年3か月かかると試算しますが、工事の再開の時期についても、現状、見通せていません。
政府は、大浦湾で見つかった軟弱地盤の改良工事のため、およそ7万本の杭を海底に打ち込む計画で、1月29日に着手してから29日で半年となります。
28日の名護市辺野古の大浦湾では、突風や高波が大事故に繋がる可能性もあり、地盤改良を行う大型の作業船が台風などの気象状況などを理由に安全確保のため、現場の海域から避難していて、この1カ月作業は止まったままです。
識者は天候の影響を受けやすい辺野古特有の地形も影響していると指摘します。
日本大学 鎌尾彰司准教授:
辺野古大浦湾の現場では、結構海底地盤が起伏に富んでたりしますので、深い海域のところでは船が安定しないので、今安全な海に避難して、その台風が去るですとか、波が落ち着くのを待っているところだと思います
沖縄防衛局によると、地盤改良にかかる杭およそ7万本のうち、6月末時点で打ち込んだのはおよそ2900本だということです。
政府は大浦湾側の埋め立て工事については9年3か月の工期を見込んでいますが、半年で打ち込まれた砂杭をおよそ3千本とすると、砂杭を打ち込むだけで8年かかるペースです。
さらに鎌尾准教授は、大浦湾の粘土状の軟弱地盤は海面から最も深い所で90mの深さに存在するとして、必要な改良工事を深さ70mまでとする国の調査は不十分だと指摘しています。
調査が不十分なまま地盤改良が進められた場合、その後の埋め立て工事への影響についても懸念しています。
日本大学 鎌尾彰司准教授:
地盤改良が終わりましたら土を盛るという作業になりますので、土を盛りながら地盤を沈下させて固めるという作業になりますので、今度はその軟弱地盤がどう挙動するか。基本的に粘土という土は沈下に時間のかかる土でありまして、そこを急ぎ過ぎると地盤が滑って破壊してしまう
辺野古地盤改良後の埋め立てや護岸の設置に影響すれば、さらに工期や予算が膨らむ事が想定されます。
移設工事にかかる予算9300億円のうちすでに5千億円以上が費やされていますが、この現状について政府は「見直す段階に無い」としその姿勢を変えていません。
玉城知事は辺野古の工事については全く終わりが見えないと指摘します。
この半年間だけみても天候の影響を受けて工事が中断しています。
それでも政府は、普天間基地の危険性を早期に除去するためには辺野古への移設が唯一の解決策として工事を推し進める考えです。