去年、元日の能登半島地震以降、漁獲量の低迷が続く富山湾のシロエビとベニズワイガニ。
県は、その状況を詳しく調べるため、最新鋭のロボットを駆使した海底調査を29日から実施します。調査に先立ち、28日、報道陣に調査概要が発表されました。
こちらが調査で使用するロボットです。
潮の流れがある海の中でも自動制御で静止し、4Kのビデオカメラでシロエビやベニズワイガニの生息環境を鮮明に撮影することができます。
*海上技術安全研究所 篠野雅彦さん
「自分で自律で判断して海底に近づいて自分で動く、数メートルまで近づいて、カメラで撮影する。ソナーではなく、カメラ観測を主にしているのが特徴」
調査では、映像に映ったベニズワイガニのハサミの大きさなどから漁獲対象となるオスを判別し、その生息密度を推定します。
また、調査では海水に含まれる生物由来のDNAを観測する装置も導入され、シロエビやベニズワイガニがその程度、生息しているかを調べるということです。
調査範囲は、富山湾の庄川河口から1.6キロ沖合に位置する水深300メートル前後のシロエビの漁場と14キロ沖合に位置する水深900メートル前後のベニズワイガニの漁場です。
これらの漁場では県が去年、実施した調査で、能登半島地震で発生した「海底地すべり」の影響で生息密度が低下した可能性があるとの結果をまとめていて、今回、その裏付けとなるデータを採取します。
*県水産研究所 辻本良所長
「被害の状況をしっかり把握して今後の水産資源管理にどう生かすか漁業者と話しあいながら早く水産資源の回復につなげるように、つながるように努めたい」
去年、元日の地震発生以降、低迷が続く漁獲量、シロエビは、今年、地震前の同じ時期と比べ、わずか17%、ベニズワイガニは70%に留まっています。
漁獲量低迷と地震の影響の因果関係、特定につながるか、海底の地質に詳しい研究者も今回の調査に期待しています。
*富山大学 学術研究部 立石良准教授
「どういった種類(の生物)がいるのか調べることで、水産物の被害や漁獲量の減少といったところにも一定の答えが得られることを期待している」
調査は、来月1日まで行われ、今年12月をめどに結果をまとめるということです。