20日行われた参議院議員選挙で自民党から比例区で立候補した岸博幸氏(62)は、久しぶりにコメンテーターとして出演したテレビ番組で自身の選挙戦を「自民党への逆風どころじゃない風を身をもって感じた」と振り返った上で、自民党と与党大敗となった選挙を受けて退陣論強まる石破首相に対し、「石破総理の責任は当然。自民党は下野を含めた解体的な出直しが必要だ」と述べました。
岸氏は経済産業省を経て、経済評論家としてテレビ番組などに出演。菅義偉内閣では内閣官房参与を務め、7月20日の参議院議員選挙に“自民党を変えたい”などとして出馬しましたが落選しました。
26日の昼のニュース情報番組「ドっとコネクト」(関西テレビ)に5月17日以来、久しぶりにコメンテーターとして出演した岸氏は笑顔でスタジオに現れました。日焼けした姿について「黒くて健康に見えますが体調はボロボロ」と最初に話した上で、自身の選挙戦については「(獲得したい得票数も)目標の半分以下(*11万391票)で終わりましたから自分の努力不足もありますけども、自民党の逆風の影響が本当大きいと思う…身をもって感じております」と選挙戦を振り返りました。
また、立候補表明直前まで「現状、予定はない」と話していた点については「(自分の)体調もあるので本当にそうだったんですが、自分が信頼・尊敬する方らから説得され“自民党を中から変えたい”と出馬を5月の末まで決意した」と立候補までの経緯を語りました。 そして、今回の参議院選挙で大敗した形の自民党について…
【 岸博幸氏 】
「自民党…外から見てるのと、実際に自民党から公認もらって中に入るのでは、やっぱり見える部分がだいぶ違うんですけど、結論から言うと『外から見てる以上に自民党はもうだいぶ問題が多過ぎてヤバイ』…だから『総理を代えるだけで自民党が立ち直るなんてことは、僕はないだろうな』と逆に確信するに至っちゃいました』
と述べた上で…
■岸氏「石破 “続投”は無理がある…(自民は)下野の可能性も考えたほうが」
【 岸博幸氏 】
「下野の可能性も十分考えたほうがいいんじゃないかと僕は思ってます。というのは、そもそも(石破首相は)続投に意欲を示してますけど、私はもう選挙戦通じ全国に行きまして、どこに行っても言われたことはですね、自民党員のみならず、自民党支持者からも『今の自民党はダメだから絶対立て直してほしい』と。加えて『石破さんを代えてほしい』という声がどこでもあったわけなんですね。だから自民党が本来そういう“地方からの声”がしっかり入っていってトップに(その声が)上がってれば“続投”って言うのかなと。加えてこの続投と(石破首相が)言ってる理由もちょっと僕は無理があるなと思っていまして・・・『国政に停滞を招いてはならない』と言ってますよね?…これまで停滞してたじゃん!」
“石破総理退陣へ”の『号外』も出る中、アメリカとの関税措置や物価高対応、そしてそう起こるかもしれない自然災害、複雑な安全保障環境を理由に挙げ「国政に停滞を招いてはならない」と続投表明の石破首相。石破政権について岸氏は…
【 岸博幸氏 】
「石破政権になってこれだけ物価上昇で国民の生活苦しいのに、ガソリン代とか電気代下げる以外に有効な対策をやりましたか?と…やってませんよね。ガソリン暫定税率も含め、だから国民の求めることを全部やれとは言いませんけども、逆に言えば石破政権になって通常国会の国会運営できゅうきゅうとしちゃって、政策が動いてなかった。言い換えると国政停滞してたじゃんと」
「(自民)党内野党だった方が突然トップになって、やっぱり真面目な方なので、逆にいろんなことに配慮し過ぎちゃって何もできなくなっちゃったっていう感じはあるのかなと…そこはお気の毒な面はあるのかもしれません。ただ、続投の理由でいろいろ仰ってますけども、(専門的な立場で)政策を見てる人間からすれば、これまで国政が停滞して、選挙が近くなって突然『1人2万円配る』とか言い出したら、それは違うよねと。加えてアメリカとの関税がまとまってですね国内対策と言ってますけど、別にこれ政治家が主導してやらなくても役人が十分できるんですよ。経験がいくらでもありますから…ちょっと理由として説得力は若干弱いのかなという気はします」
■「総理の責任は当然…“解体的な出直し”が必要」
さらに自身が公認を受けた自民党については…
【 岸博幸氏 】
「加えて(自民党の)政策がぶれまくりました。給付金が不利となると(選挙戦の)最終盤には『減税もやる』というようなことも言い出しまして、残念ながらやっぱりぶれまくりました。だから私は実際の中で関わっていろんなことを幹部には提言してましたし、それが全然動かない。選挙戦略一つをとっても正直言ってやっぱり野党で躍進したところは、今の時代に合ったSNSとか動画をうまく使っていたんですけども、結局自民党は幹部とか候補がしゃべる内容も、あとは選挙戦略も、はっきり言えば昭和から進化してないなと…だから、ある意味で今の自民党って、歴史ある伝統ある大企業。競争力が衰退しちゃって、中の論理にばっかりに拘泥しちゃってるっていう感はあるのかなと」
と、自民党の現状について辛らつに持論を述べました。そして、石破首相の退陣論については…
【 岸博幸氏 】
「だから私は総理の責任があるのは当然。逆に言えば総理を代えれば、本当に自民党立直ちってですね、政策良くなるかっていうことは難しいと思っておりまして、だから萩生田さんであるとか選対本部長だった木原さんとかも『一度下野したら』と言ってますけど、私はそれぐらいのことをやって“解体的な出直し”をやらないと自民党がよみがえるのは大変じゃないのかな」
落選が決まって、自民党の関係者や石破首相から連絡やねぎらいの言葉があったのかスタジオで聞かれると岸氏は「それはいろんな方から連絡いただいて、ある方からは拾う必要ない“火中の栗”を拾わせて(すまない)という表現もあり、それはうれしかったです。(石破首相からは)連絡はないし、しゃべりたいと思いませんね」
■「選挙3連敗でスリーアウト。トップは責任取るためにいる」
そして、あらためて政界の焦点となっている石破首相の退陣論については…
【 岸博幸氏 】
「冷静に考えて、これまで選挙3連敗したわけですね、去年の衆院選、今年の都議選、今回の参院選。野球で言えばスリーアウトですよね。企業で言えば、3期連続大赤字と同じわけですよ。だから3期連続赤字出した社長ってこれ普通責任(取って辞任)ですね。ある意味でトップというのは責任を取るためにいるとも言えますんで、それで代わらない…いろんな理屈は並べられるけども、それで本当に説得力を持ってるかっていうと違うと思いますから…」
( 関西テレビ「ドっとコネクト」 7月26日放送より )