23日の昼前に一部報道機関が「退陣」を報じ、街では号外も配られることになった石破総理。
しかし午後、総理経験者3人との会談後、改めて退陣を否定した。
自民党内で“石破おろし”が吹き荒れている中、本当に退陣はあるのか。
関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」では、元NHK政治部記者でジャーナリストの岩田明子さんが解説。
石破総理は、参院選の結果について「思っていたほどには負けなかった」と考えていて、「党内からの反発に『カチン』と来ている」と説明した。

■歴代総理経験者との懇談では 岸田氏、麻生氏は「考え方を述べた」か
石破総理は、麻生氏、菅氏、岸田氏の3人の総理経験者と会談した後、「党の分裂は決してあってはならないなど、いろいろな話があった。私の出処進退は一切話は出ていない」と退陣をはっきりと否定した。
岩田明子さん:総理経験者との会談の中で、取材をすると岸田さんとか麻生さんは、ご自身の考え方を述べられたそうです。
(Q.退陣に向けた考え方?)
岩田明子さん:『一定の期日を示さないと、党が割れてしまう』ということを述べられたようです。それである意味、“あうん”で、『総理であればこういう時に、どういう対応するかは分かってるでしょう』という所を、たぶん空気で感じ取ったのではないかと私は受け取りました。
ただ、こうやって頑なに続投をする意向を示せば示すほど、党内の反発が強くなってしまうので、ここが石破さん自身の意思を固くしてしまうという、ボタンのかけ違いというか…ロードマップをしっかり、舞台まわしをできる人がいないといけないんですよ。

■石破総理「思っている以上には負けなかった」から党内の反発にカチン
石破総理の心の中について岩田さんは「退陣はするけど、日米交渉、党内の反発にカチン」と読み解く。
岩田明子さん:(総理に)特にしがみついてるわけではないんだけれども、この(参院選の)投票結果を見て、『けじめはつけよう』という考え方を、ごくごく一部の、幹事長を初めとする周辺には、意向はにじませていました。翌日の記者会見の時に、『日米交渉にめどつけなきゃいけないんだ』と強く主張されましたけど、それに『地震、災害も対応する』と言ってしまったので、ここが党内の反発を生みました。
日米交渉があるから、対外的に足元がぐらついてる政権では交渉にならないので、対外的に続投すると言っている。そういうことであれば、党内も『なるほど』ということになるんだけど、地震まで持ち出しちゃったんで、それで反発が強くなったっていう部分がありました。
それからその反発を見て、今度は、『けじめつけなきゃ』と思ってた所、『そんなに反発するんだったら!』みたいな気持ちも生まれてるようです。執行部の中の1人は、この党内の様子を見て、心硬くなっちゃった部分が大変だと言っています。
(Q.参院選の結果は石破総理の想定内だった?)
岩田明子さん:報道各社の世論調査では、自公で40議席を割るという見方もあっただけに、前日の執行部はものすごく暗かったですね。前日の執行部を取材したら、40割るっていう見方も出てるので、『どうしてこんなに負けるのか』、『44とか45まで行けばちょっとほっとするんだけどな』ということを言っていました。ふた開けてみたら、それを上回ってましたから、『これだったら』っていう部分も、あったにはあったと思います。
青木源太キャスター:最後は敗北だけど、惨敗ではなかった?
岩田明子さん:そう。
石破総理が「思っている以上には負けなかった」という認識だからこそ、「党内の反発にカチンとした」ということだ。
岩田明子さん:ただ勝敗ラインは自分で50と言ってしまいましたから、総理の言葉は重いので、『ここはけじめをつけろ』というところは言われてしまいますよね。

■自民党内の“石破おろし”
自民党内からも“石破おろし”が吹いている。
大阪府連会長 青山繁晴氏:総理は身を処されるべき、お辞めになるべきです。
小林鷹之元経済安保大臣:お央の候補者が涙をのんだ、非常に重い責任をトップとして、しっかり受けとめて欲しい。
旧安倍衆議院議員:選挙の審判を軽視している、早期に判断いただきたい。
自民党 高知県連:総裁の責任取るべき、今の説明で理解得るのは困難。
自民党県連(栃木、茨城、山梨など):石破総裁・森幹事長の即時退陣をしてほしい。
こういった声が出ている。
岩田明子さん:青年局でも、各県連から意見を聴取して、青年局の方でも退陣に向けた意見表明があると思います。

■28日には両院議員懇談会 「ガス抜きに終わる」可能性も
今後の主な政治日程を見ると、7月28日に『両院議員懇談会』がある。
(Q.両院の自民党議員が集まって、どんな発言になる?)
岩田明子さん:当初は31日に設定されましたけれども、反発が強まったので前倒しにしました。両院議員『懇談会』だと、両院議員『総会』とは違って、議案を決めるものではないので、これがガス抜きに終わってしまう可能性もある。
だけれどもあえて両院議員『総会』ではなくて『懇談会』にしたというのは、まだステップを踏んで、ソフトランディングをしようという考え方もあるということなんです。この両院議員懇談会では、『参院選を総括しろ』という話が出ると思います。
そうなると参議院選挙を総括するのが、8月ぐらいに総括があって、それを踏まえて『出処進退を決めなきゃいけませんね』ということで、次のステップに進むという考え方も今、浮上しています。

■「節目を間違えると、辞め時なくしてしまう」
(Q.いつ退陣表明をする?)
岩田明子さん:一番きれいだったのは、このトランプ関税ですね。交渉がうまく合意ができて、まだ詰まってない部分がありますから、その細部の部分を詰めるという意味で電話会談するなり、あるいは緊急で訪米して、トランプさんと会ってそこを花道にするというのが1つの考え方。
ただ周辺取材しますと、石破さんはTICAD(アフリカ開発会議)とか、一連の夏の日程もやりたいということを漏らしているそうなので、そうするとこの夏の広島・長崎を訪問だとか、8月15日の戦没者の慰霊式典、それからTICADですね。これ全部終えてからという所も1つの節目にはなりうる。
節目を間違えてしまうと反発がより強まって、非常にやめどきをなくしてしまうということにもなりかねない。
いずれにしても、「石破総理退陣」の流れは避けられないということだ。
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年7月24日放送)
