箱根駅伝で5度王座に導いた青学・原監督

青山学院大学を箱根駅伝優勝に導くなど、その手腕が注目される原晋監督。
常識にとらわれない原監督が考えるリーダーシップ論を、衣笠梨代キャスターが聞いた。

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1967年、広島・三原市出身。
世羅高校時代には全国高校駅伝で準優勝。
中国電力・陸上競技部に入部するも故障に悩み引退、営業マンに。
青山学院大学を箱根駅伝で5度王座に導く。青山学院大学陸上競技部・原晋監督。

衣笠梨代キャスター:
今日は広島に帰ってこられていかがですか?
 
原監督:
ほっとしますね。お好み焼きと「むさし」のおむすび、これは私にとって欠かせないアイテムですね

衣笠梨代キャスター:
この写真は小学生の頃ですか? カープの帽子をかぶっていらっしゃる

原監督:
初々しいね。これは小学4年生くらいかな。3年生かな。当時「三原市健康マラソン」というのがあって、そこへ自ら申し込んだと思います
 
衣笠梨代キャスター:
ご自分で? 誰かに言われたのではなく?
 
原監督:
「お父さん、これ出たいんだ」ということを、父親にお願いしたような記憶がありますね

衣笠梨代キャスター:
実は私も陸上をやっていまして、小学校から高校まで800メートル。駅伝もやっていまして。お会いできるのを楽しみにしていました
 
原監督:
(衣笠さんは)自分に厳しいんでしょうね。普通、陸上をやっている人がやめると巨大化するんですよ。凛(りん)としているんで
 
衣笠梨代キャスター:
今もたまには走ったりしようかなと…言えるほどではないんですが
 
原監督:
私は、現役時代58kgですよ。引退して一番ピークは93kgまでなりましたからね。それは重たい、重たい。胃袋がそれだけ現役時代は強いんですよ。走るの一切やめるでしょ、消費カロリーがなくなって摂取カロリーが増えるわけです。それは太りますよね。自分に甘いんだなと思いますね

衣笠梨代キャスター:
結構、増減があったのですね
 
原監督:
今は、80kgちょっとあるかな。ちょっといけない

衣笠梨代キャスター:
陸上を始められたきっかけ、先ほども自分で申し込まれたとおっしゃっていましたけど、きっかけは何だったのですか?
 
原監督:
私は今年で54歳になります。当時の社会情勢でいえば、遊びといえば野山を駆けめぐったり、虫取りやら海にもぐって魚を取ったり、自然が遊びだった。外で駆け巡っているのが日常の遊びだったので、その延長線上にマラソン大会というのがあったのだと思います。走るのが当時は好きだったのだと思います

衣笠梨代キャスター:
でもだんだんやっていくうちに...
 
原監督:
陸上をやっていたんだけれど、陸上が本当に好きだったのかなと考えたときに、陸上が好きではなくて…嫌いではありませんよ…勝負が好きだったのだと思いますね。勝った、負けた。その世界で陸上競技をとらえていたかなと思うな
 
衣笠梨代キャスター:
シンプルに出ますものね、勝ち負けが
 
原監督:
自分自身と向き合っていかなくてはいけない競技なので。特に駅伝ともなると、たすきをもらったら誰の助けも得られない。自分の身一つで走っていく。それが長距離、マラソン、駅伝の特徴なんで。逆に頑張れば成果が出るというのもマラソンの世界だと思う

原監督が「改革する思考」を執筆した理由

衣笠梨代キャスター:
今回は原監督著書、「改革する思考」読ませていただきました。この本を執筆しようと思われたのはどうしてですか?

原監督:
だんだん世の中の動向に対して、自分自身が腹が立ってきた。ネガティブ思考の連続で、このままいくとスポーツ界だけではなく、教育界全体が沈下していく。経済も止まり、教育も止まり、じゃあ10年後、20年後の日本はどうなるの? というふうに感じたんですよね。

原監督:
今回のコロナ禍の中で全てがマイナス思考になって。危険だったらやめてしまえというような思考を今の若者に持たせると、彼たちが10年後、20年後にリーダーになったときに、何か国難に見舞われたときに、全て同じような「それはやめとけ、危ないからするな」という思考になって、思考停止になる。コロナ禍だからこそ、白紙のキャンバスにどうやったら新しいアイデアを取り入れることができるか、というマインドに変えていかなければならない

ポストコロナの時代、たとえ叩かれたとしてもへこたれない精神力が、リーダーには求められると原監督は言う。

原監督:
やはり世の中にはリスクはつきものです。リーダーがやろうとするのか、覚悟を持っているのか、責任を取ろうとしているのか。そこの考え方次第で、やろうかやるまいか決まってくると思います。最後はリーダーがいろんなことを「やりたい」「やらねばならない」、そういうふうにまず思うことですよね。

原監督:
それと授業で私よく言うんですが、リーダーは何も広島県知事、広島市長、あるいは陸上部の監督、あるいは会社の社長、部長、それらの方々だけがリーダーではないんですよ。県民一人ひとり、皆さん一人ひとりがリーダーだと思う。社会をよくするにはどうしたらよいかというマインドで、物事を考えていただきたい。そんな気がします。

最後に、多くの大会が中止となった若きアスリートにメッセージをもらった。

原監督:
世の中に決して無駄なことなんかありません。あえて、コロナ禍の中で無駄というものを大切にしましょう。君たちの夢、希望は必ず開かれることだと願っています。広島の未来は君たちにかかっています! 頑張りましょう!

(テレビ新広島)

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