「清水の舞台から飛び降りるつもりで」
楽天は5Gサービスについて、大手3社の半額以下となる月額2980円で提供すると発表した。
楽天・三木谷社長:
(4Gと)同料金ということで、清水の舞台から飛び降りるつもりで行った。

9月30日から始まった5Gサービスについて、月額2980円で提供すると発表した楽天。
現行の4Gプランと同じ料金で、すでにサービスを始めているドコモなど、大手3社の料金の半分以下となる。5Gのサービスエリアでは、データ使用量に制限なく使用できるが、エリアは東京、大阪など6都道府県の一部と限定的。

楽天は、4Gサービスでは自社の回線エリア外をKDDIの回線でまかなっているが、5Gについては、他社との回線契約はしないことも明らかにした。
携帯大手「低価格プランで対抗できる」
菅首相が強い意欲を示す携帯料金引き下げに、楽天がどのような影響を与えるかが注目されるが、携帯大手の関係者は「低価格プランで十分対抗できる」とした上で、「エリアが拡大し、災害対応などもインフラとしてできるのであれば脅威だ」とも話している。

エリアの早期拡大と、回線の安定性が課題となる。
このニュースについて、早稲田大学ビジネススクール教授で、かつてソニーで製品開発にも携わっていた長内厚さんに話を聞いた。
市場の閉塞状態を切り開くのは後発企業
三田友梨佳キャスター:
楽天、思い切った手を打ってきたなという印象ですが、長内さんはどうご覧になっていますか?
早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
後発には後発の有利さがあると思うんですね。かつて大手2社が市場の大部分を占めていた携帯電話ですが、3位のソフトバンクは、それまでガラケー一色だった市場に、まったく新しいコンセプトのスマートフォンを引っさげて市場を切り開いて、三強の一角に上り詰めました。
成熟化した市場の閉塞状態を切り開く“脱成熟”を起こすのは、実は、既存の大企業よりも新規参入の後発企業の方が多いんです。

三田友梨佳キャスター:
脱成熟を起こすのは後発企業というのはなぜなのでしょうか?
早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
既存企業は、それまでの成功体験ですとか惰性というものに縛られてしまいますので、自ら築き上げたものを壊すって、なかなかできないんですね。
私もソニーでテレビの商品企画をしていた時に、新しい薄型テレビの企画をしようとすると、どうしても、それまでのブラウン管テレビの当たり前みたいなものに縛られて、なかなか新しいコンセプトが出しにくいという状況がありました。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
その時のブレイクスルーというのは、組織を分けて、新しい組織を独立させる。そうして、既存の事業から引き離す、成功体験に縛られないというのが大切なんです。
楽天も、既存の携帯電話会社にはない新しい商品ですとか、ライフスタイルの提案を市場でしていって、市場を活性化することが期待されると思います。
三田友梨佳キャスター:
そうですね。利用者としては単純に選択肢が広がるのはうれしいことですし、価格もそうですが、つながりやすさも大切ですから、インフラにどこまで投資できるのかも期待して見ていきたいと思います。
(「Live News α」9月30日放送分)