東京電力は7月21日、各号機からの使用済み核燃料を集約している「共用プール」で冷却ファンの不具合によりプールそのものの冷却が停止したと公表した。
停止した午後8時ごろの共用プールの温度は33.3℃。
「共用プール」には7月21日時点で6,188体の使用済み核燃料が保管されている。
今後、燃料から発せられる熱で温度が上がることが想定されるものの、周囲のコンクリートの健全性に影響が生じる可能性がある「制限温度」の65℃に達するまでには約8日間の猶予がある。
東京電力はそれまでに復旧すべく原因の調査などを急いでいる。
また、福島第一原発では午後7時40分ごろに「陸側遮水壁」に冷媒を供給するためのポンプが全台停止。「陸側遮水壁」は発生する汚染水の量を減らすべく、地下水が原子炉建屋などに流れ込まないように建屋を囲む「凍土方式の壁」だが、これに冷媒を供給できなくなっている。東京電力によると、この状態でも数か月は効果を維持できるという。
東京電力によると、これによる周囲への影響は確認されておらず、建屋にたまっている水の水位などに大きな変動はないという。
福島第一原発周辺では7月21日、天気が荒れて雷などが確認されているといい、竜巻注意情報(竜巻発生確度2)が発表されたことから東京電力は7月21日午後7時すぎに処理水の海洋放出を手動停止している。
【更新:7月21日午後11時時点】
東京電力は、停止していた「共用プール」の冷却について、停止から約2時間後の午後10時すぎに再開したと公表した。
冷却ファンに異常がないことが確認できたためファンを起動したという。
冷却再開時のプールの温度は、停止から0.4℃上がった33.7℃で、周囲のコンクリートの健全性に影響が生じる可能性がある「制限温度」の65℃には達していないため、設備の健全性に問題はないとしている。
ファンの停止当時、福島第一原発周辺には雷注意報が発令されていて、所内電源の電圧に変動が確認されたものの、東京電力はファン停止の詳細な原因は調査中としている。