20日に投開票が行われる参議院選挙。
1議席をめぐり、過去最多となる7人が立候補している、和歌山選挙区では、自民党が議席を獲得し続けてきたものの事態は大きく変わってきています。
FNNの最新の情勢調査に取材を加味した分析では、優勢なのは無所属の新人・望月良男さん(53)。
自民党の新人・二階伸康さん(47)と参政党の新人・林元政子さん(51)がそのあとを追う展開です。
”保守王国”と呼ばれたこの地で、し烈な戦いを繰り広げる3候補を中心に、候補者の訴えをまとめました。
■“二階王国”父の地盤を引き継ぐも衆院選で落選…二階伸康氏の訴えは
【二階伸康候補】「二階伸康は必ずやります」
自民党から立候補した二階伸康さん。およそ40年にわたって衆院議員を務めた二階俊博元幹事長の三男です。
【二階俊博元幹事長】「私自身がご厄介になったのに、さらにまた私の三男がお世話になるということでありまして」
父親が応援に駆けつける中、高速道路などの整備に加え、中国との強いパイプを武器に、帰国したばかりのパンダを再び白浜に呼び戻すと訴えています。
【二階伸康候補】「この30年間白浜の観光を支えてきてくれたパンダ。私はもう1回この繁殖研究事業、再開できるようにしっかりと取り組んでまいることをお誓いしたいと思います」
去年、“二階王国”ともいわれた父の地盤を引き継いで衆院選に立候補するも、自民党を離党し、無所属で出馬した世耕弘成さんを相手に落選。
それ以降、駅前に立って有権者の声に寄り添うことに徹してきました。
【二階伸康候補】「声なき声にしっかりと耳を傾け、それを真正面から受け止める。去年の経験では得られなかったものを新たに得られ、見えなかったものが少し見えてきた。地方が輝けば私はこの国が輝く、そういうふうに信念を持っています」
■身内から戦いに水を差す発言が…
雪辱を誓う大切な選挙。しかし、今月8日、身内から戦いに水を差す発言が…
【二階陣営・鶴保庸介参院議員】「運のいいことに能登で地震があったでしょう」
二階さんを応援する地元選出の鶴保庸介参院議員が応援演説で発したこの失言と謝罪・撤回が大きな波紋を呼ぶ事態に。
FNNの情勢調査でも当初は接戦でしたが、その後、望月良男さんを追う展開となっています。
■「勝った方を応援する」はずが 自民候補選び巡って「因縁」…
しかもこの望月さん、二階さんにとって「因縁」の関係にある相手なのです。
【二階候補を応援する九度山町・岡本章町長】「彼は(望月さんは)自民党公認を取りに来て、二階さんと選挙したわけです。もし負けた場合は勝ったほうを応援します(と)。それをわずかの間に無所属で立候補する。こんなん大丈夫なんですか」
二階さんを支援する町長が苦言を呈するほどです。
■自民候補選びで敗れた望月氏が無所属で 割れる「自民票」
望月さんは元有田市長の無所属の新人です。
【望月良男候補】「参院議員はこの望月良男、市長経験のある望月良男を選んでいただいて大丈夫です。どうぞ国政に送って下さい」
市長経験をアピールしつつ、再生可能エネルギーなど、次世代産業の誘致に力を入れていきたいと訴えています。
無所属で出馬したわけはことし2月、自民党の公認選挙に立候補するも、二階さんに敗れたからでした。
公認選挙では、負けた側が勝った候補を応援する決まりでしたが、望月さんは離党して無所属で立候補。
その結果、自民党の票が割れる展開となっているのです。
■望月氏を支援するのは衆院選で二階氏破った世耕議員 鶴保氏や政権の批判も
そんな状況の望月さんの支援に回っているのが、去年、二階さんに圧勝した世耕弘成衆院議員です。
【世耕弘成衆院議員】「県選出の国会議員の1人が能登の地震に関して、とんでもない発言をしました。石川県と和歌山県の絆を台無しにしてしまう発言だった」
前日の鶴保議員の失言を厳しく追及。さらに、今の自民党政治そのものについても批判します。
【世耕弘成衆院議員】「今の石破政権、『どないなってんねん』と。はっきり言って政策がぶれる。和歌山の政治の空気を入れ替えてくれ。和歌山の(政治の)空気の入れ替えをこの望月さんを当選させることで絶対実現しなければいけない」
【望月良男候補】「和歌山の政治を変える、そして和歌山が日本のいろんな地方の課題を全部引き受けて、地方のモデル県になるような、そんな和歌山県を世耕先生と一緒になって作っていきたい」
■勢いを増す参政党 林元氏はネットでの発信武器に
保守がかつての「王国」で本格的に分裂するなか、勢いを増しているのが、参政党の新人、林元政子さんです。
【党公式YouTubeより】「1、2、参政党!」
「日本人ファースト」をスローガンとして、ネットでの発信を武器に全国的に勢いを増す参政党。
県内で開く集会は小規模な会場ですが…演説の様子を発信して主張する政策を知ってもらう狙いです。
【林元政子候補】「私はこの消費税なかった30年前、この状態を取り戻すことによって和歌山のような地方、日本の経済は『爆上げ』すると考えます」
■日本維新の会・浦平美博氏「社会保険料引き下げで暮らし変える」
そして日本維新の会からは浦平美博さんが出馬。
【浦平美博候補】「政治は誰のためにあるのか。国民のためにあるんです。社会保険料の引き下げ、これをすることによって暮らしを変える」
■共産党・前久氏「消費税廃止目指しまず5%に」
共産党からは前久さんが出馬しています。
【前久候補】「生活が本当に物価の値上げで苦しい。節約も限界や。消費税は廃止を目指しつつ緊急に5パーセントに引き下げる」
■激戦区となった和歌山を制するのはー
和歌山選挙区からは以下の7人が立候補しています。
(いずれも新人・届け出順)
共産:前久候補(69)
自民:二階伸康候補(47)
無所属:望月良男候補(53)
維新:浦平美博候補(53)
無所属:末吉亜矢候補(54)
諸派:本間奈々候補(56)
参政:林元政子候補(51)
激戦区となった和歌山。制するのはいったい誰なのか。
(関西テレビ「newsランナー」 2025年7月18日放送)