現職と新人の合わせて4人が新潟選挙区に立候補している参院選の争点をシリーズでお伝えします。今回は価格や将来の生産について不安が続く『コメ政策』についてです。
■価格・生産への不安続く中…“コメ政策”熱く訴える各候補者
日本の主食・コメの現状と未来が不安視される中、行われている今回の参院選。各候補の訴えも、コメ政策で熱を帯びています。
【参政・新 平井恵里子 候補】
「今の農業というのは農家さんの犠牲の上で成り立っています」
【自民・新 中村真衣 候補】
「やはり私たちがおいしいお米を食べられるのは、農家の皆さんのおかげです」
【立憲・現 打越さく良 候補】
「新潟県はコメどころ。でも、なかなか(コメ生産で)暮らしていけない。そんなお声をたくさん伺ってきた」
6月28日、三条のスーパーにできていた人の列。
【お客】
「買える。よかった」
【お客】
「やっぱり安いコメのほうがいい」
目当ては、1922円で販売される備蓄米です。
おととしの猛暑による不作以来、品薄や価格の高騰と供給の不安定さが続くコメ。こちらの店でも去年夏には、在庫不足からお客への販売制限をかけるなど対応を迫られてきました。
【スーパーマルセン 太田雅悠 専務取締役】
「全体的に(入荷の)数量が全く入らなくて致し方なく。数量制限を設けるのは20年くらいスーパーをやっているが初めて」
その後もコメの価格高騰と品薄状態は続き、随意契約で仕入れた2021年産の備蓄米、いわゆる“古古古米”は待望の商品でした。
【スーパーマルセン 太田雅悠 専務取締役】
「備蓄米が出てきた効果によって、コメ不足というのはちょっと解消された」
この備蓄米について各候補者の認識は様々です。
【自民・新 中村真衣 候補】
「消費者の皆様は選べるという部分ではすごくよかったのかなとは思うが、普通のコメは価格が違ってくるので、これからしっかり政策を立てていかなければならない」
【参政・新 平井恵里子 候補】
「買えた人たちもありがたいと思っていると思うが、いま(災害などで)本当に備蓄米を必要とする状況になったときにどうするんだろうと心配している」
【立憲・現 打越さく良 候補】
「有事でもないのに、平時でもあるにも関わらず、このような大変な状況が収まらないことになっていると思う。劇場化した農政では事態は変えられない」
■備蓄米の入荷予定なく…銘柄米価格も高止まり
随意契約の備蓄米が販売されてから約2週間。
【松村道子キャスター】
「6月末には備蓄米が積まれていましたが、現在コメ売り場に並ぶのはすべて銘柄米。価格も高止まりしているということです。今後の備蓄米の入荷予定はないといいます」
全国のスーパーで販売されるコメの平均価格は、直近では5kgあたり3602円と7週連続で値下がりしています。
一方で、銘柄米の平均価格は4273円。値下がり傾向にはあるものの、今年3月以降4000円台を推移。この店に並ぶ銘柄米は4000円台後半が中心です。
【スーパーマルセン 太田雅悠 専務取締役】
「(Q.仕入れ値としてはどう?)仕入れ値は全然変わっていない。依然高いまま」
仕入れ値は下がっていませんが、「コメの価格が下落している」という情報に触れているお客の期待を裏切れないと、毎週、お買い得品を用意。利益は度外視です。
痛みを伴いながらも店側が販売の工夫を重ねる中、消費者からは参院選を前に、この先の農政に関する声が聞かれました。
【お客】
「流通がはっきりしないところがある。そこをはっきりしたほうがいいのでは」
【お客】
「ちゃんと(コメの)量を作ってくれれば問題ないかなと思う」
【お客】
「農家の人を育てて、上手に所得を上げていけば、(食糧自給率が)38%しかないというのが少しでも上がるのでは」
■日本のコメ・農業の未来…どのような政策で守る?
各候補者も、それぞれの政策で「農家を守る」と訴えます。
参政党の新人・平井恵里子さんは、これまで政府が行ってきた減反政策は失敗だと指摘した上で、農家の収入を補償する必要性を強調。
【参政・新 平井恵里子 候補】
「きちんと農家の収入を安定させること。公務員化というふうに参政党としては言っているが、そうすれば子どもたちも農業をやろうと思う。このまま何もしなかったら本当にコメを作る人がいなくなってしまうので、今すぐに取りかからなければと思っている」
自民党の新人・中村真衣さんは、コメの流通経路を確認する必要性に言及。また、スマート農業の支援や農家の所得補償を主張します。
【自民・新 中村真衣 候補】
「今回これだけ米価が高騰しているが、農家の皆様はそこまで手取りが増えていないとお話されているから、しっかりと農家の皆さんを守るためにも、農家の皆様の所得をしっかり守っていかなければいけないと思っている」
立憲民主党の現職・打越さく良さんは、党が訴えてきた農家の所得補償を強化し、農地を維持する農業者への交付金制度の新設を重視。
【立憲・現 打越さく良 候補】
「農村に人が住み続けてくださる。そこで暮らして生活して生産を続けてくださる。それ自体に大きな意義があることなので、戸別所得補償をバージョンアップした直接支払い農地に着目した、直接支払いという形でご提案させていただいている」
諸派の新人原田公成さんは、「日本のコメを海外へ売り出すべき」と主張しています。
日本のコメ、そして農業の未来を誰に託すのか…参院選の投開票は7月20日に迫っています。