小学校教師が「指導の一環」として児童を羽交い絞めする行為は暴行に当たるのかー。11日、福山市で注目の裁判が開かれた。

裁判官が言い渡した判決は「無罪」だった。

判決などによると、福山市立小の男性教師(37)は、去年5月、勤務する小学校で掃除の時間だったにも関わらず、校庭でボール遊びをしていた児童を注意。その際、児童が教師の足を蹴るなどして暴れたため、羽交い締めにしたとして「暴行の罪」に問われていた。

教師は、書類送検された後、略式起訴され、福山簡易裁判所から罰金10万円の略式命令を受けたが、これを不服として正式な裁判を申し立てていた。

男性教師は無罪を主張する一方で、検察側は児童と教師には体格差があったことなどから「教師による過度な力の行使だった」と主張していた。

裁判では、教師の行為が「正当防衛に当たるか」や、「教師として指導権限の範囲」いわゆる「懲戒権の範囲」なのかどうかが争点となった。

11日の判決で、裁判所はこれまでも男子児童が授業を妨害をしたり、パソコンを持ち込んでインターネット動画を見たりする行為があり、都度、学校側が児童を指導して経緯にも触れ、事件当日、男性教師が注意をした際、児童が逃げようとしたため腕をつかむと、児童は膝で教師を蹴ったり手で殴ったりして抵抗したと認定。

教師は羽交い締めにした後、「暴れるのをやめたら放すよ」などと児童に言い、数分後に児童が落ち着いたところで手を放したという。

松本英男裁判官は、男性教師の行為については「問題のある行動を繰り返していた児童に対して口頭での指導を行うためにその場にとどめようとした」と指摘。

学校教育法で規定される「懲戒権行使」の範囲内と判断し、「法令によってなされた正当な行為で、暴行罪は成立しない」として無罪の判決を言い渡した。

男性教師の代理人弁護士によると、判内容に決男性教師は「安心した」と話し、弁護士は「こちらの主張がおおむね認められ、望んだ判決が出たので納得している」とコメント。

一方、広島地検の岡田馨之朗次席検事は「判決内容を精査し、上級庁と協議し適切に対応したい」とコメントした。

福山市教委は当該事件後に聞き取りなどを行い「体罰に該当しない」と判断していた。

判決をうけ「引き続き子どもたちが安心して安全に過ごせるようまた、子どもたちへの指導が適切に行われるよう努める」としている。

なお、男性教師は、現在は、別の小学校に勤務しているという。

テレビ新広島
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