日本ではあまり知られていない、病気を抱える子供たちをサポートするスペシャリスト。
医師と患者、家族をつなぐ女性に密着しました。
神奈川・横浜市にある横浜市立大学付属病院の小児科病棟で働く石塚愛さん(33)。
入院している子供の治療への不安やストレスを、遊びなどを通して和らげ、寄り添うチャイルド・ライフ・スペシャリストです。
チャイルド・ライフ・スペシャリストの石塚愛さん:
カルテの情報とかで、この子少し落ち込み気味かなとか考えながら(病室へ行く)。
この日は、白血病で1年以上前から入院している8歳の女の子をケア。
抗がん剤投与を行う治療の日。
安心して処置に臨めるように好きな動画を一緒に見ながら、鎮静剤が効くまでサポートをしました。
チャイルド・ライフ・スペシャリストの石塚愛さん:
どうやって頑張ってこうか一緒に考えるのも仕事かな。
手術前の子供には、不安を取り除くために何を行うか、分かりやすい言葉で説明します。
チャイルド・ライフ・スペシャリストの石塚愛さん:
怖さがすごくあるところなので、その前に少し(手術)部屋の写真とか、こういう流れで病棟から手術室まで下りるよってところを説明するように。
子供の保護者は、石塚さんに対して「不安を取り除いてくださって、私たちも本人も気持ちの心の準備とか、そういった面で本当に温かい存在」と話します。
高校生のころ、チャイルド・ライフ・スペシャリストという仕事を知った石塚さん。
日本では資格が取れないため、大学卒業後、アメリカの大学院へ進み資格を取得しました。
アメリカでは、チャイルド・ライフ・スペシャリストが“小児医療に欠かせない存在”とされていて、6000人近くが働いていますが、日本ではわずか51人。
認知度が低いのも課題です。
その必要性について、横浜市立大学付属病院小児科の松澤祟医師は「子供の声を代弁するという形でサポートしてもらっていて、我々から説明するだけだと心配しちゃうような子供たちも、子供たちの目線に立って説明をしてもらうことで、自分たちなりに理解をして、(治療に)頑張ること、取り組むことができている」と話しました。
入院中の子供は、「(Q.石塚さんがいると安心?)うん。(治療が)怖くなくなる」と話していました。
子供の笑顔が原動力だと話す石塚さん。
チャイルド・ライフ・スペシャリストの石塚愛さん:
(CLSは)医療職と患者さん、家族の橋渡し的な存在。CLSの専門性って小児医療の中でも大切な部分を担っているなと思うので、いろんな病院で導入してほしい。
子供の病気を乗り越える力を支援するチャイルド・ライフ・スペシャリスト。
医師や看護師とは異なる視点で子供に寄り添い続けます。