夏の夜を彩る「ホタル」。
街中に住む人にとっては、なかなか見れないと思いきや、貴重なホタルを「都会」で見せてくれる男性がいます。
人呼んで「ホタルおじさん」。どんな人なのでしょうか?
■大阪の住宅でホタルの鑑賞会
6月28日、大阪のある住宅の前にできた大行列。
そのおうちの庭では、ホタルが繊細な光を放っていました。
このホタルの「鑑賞会」を実現したのは、大阪市東住吉区の自宅の庭でエレクトーンを楽しむ阪本裕一さん(88)。
この町で生まれ育ちました。
(Q.地元の方からどう呼ばれてる?)
【阪本裕一さん】「ホタルのおじさん、ホタルおじさん」
■試行錯誤繰り返しホタルの飼育に成功 町の人たちの“希望”から自宅で鑑賞会
もともと、虫や植物を育てるのが好きだった阪本さん。
およそ30年前に、新聞で大阪市の下水処理場でホタルを飼育していることを知り、「自分でもできるのではないか」と挑戦。
最初はなかなかうまく羽化しませんでしたが、ホタルのえさや土の改良を重ねて、5年ほどで成功したのです。
もともとは自分だけで楽しむつもりだったということですが。
【“ホタルおじさん”阪本裕一さん】「みんなが「(鑑賞会を)したらどうや?」と言って。希望があったので、「ほんなら、しよか」と。その代わり、みんな協力してくれる」
地域の子供に見せていたものが、いつのまにか”みんなが見たいもの”に。
15年ほど前から、自宅で鑑賞会が開かれることになったのです。
■ことしはホタルの羽化がうまくいかず…
今年の鑑賞会まであと10日ほど。
【“ホタルおじさん”阪本裕一さん】「(ホタルに)息を吹きかけたら、それを感じてピュイっと光る」
しかし阪本さんはことし、いつもにはない不安を抱えていました。
(Q.この時期にこの数はどうですか?)
【“ホタルおじさん”阪本裕一さん】「少ない、少ない。こんなん初めてや。気候が悪いんかな。去年はスムーズに(羽化して)、この辺にいっぱい飛んでいた」
大切に育てたホタルの羽化が思ったように進んでいない様子。
みんなが見に来る夜を照らしてくれるのでしょうか。
■ホタル観賞会当日…夜を照らすホタルを600人が鑑賞
先週土曜日。鑑賞会の日が来ました。
お手伝いは地元の人たち。なかには小学生もいます。
【“スタッフ”の小学5年生】「コロナが明けてからお手伝いしてるんですけど。(見に来るのは)ことしで…9回目…くらいですかね」
ことしは600人がホタル観賞会に訪れました。
【鑑賞会に来た人】「電気じゃないで、虫が光ってんねんで」
都会の子供にとっては見慣れない、ホタルです。
夜になり迎える「本番」。
蛍たちは、夜を照らしてくれました
【鑑賞会に来た人】「協力してくれた、ホタルさんが」
【鑑賞会に来た子供】「これがホタル?」
【鑑賞会に来た人】「そうこれがホタル。光ってる虫がホタル」
【鑑賞会に来た子供】「思ったよりちっちゃかった」
【鑑賞会に来た人】「やっぱりホタルはいいですね。自然の中で光ってるものもいいですけど、飼育するって難しいので、それが見れたのでうれしい」
【“ホタルおじさん”阪本裕一さん】「ホタルってなかなか、こんな都会では見れないですやん。まあ、ちょっときょうは、ゆっくり休ましてもらいます」
阪本さんがはぐくむ小さな命の光。人と人のつながりを生み出しています。
(関西テレビ「newsランナー」2025年7月2日放送)