東京都心で6月30日、最高気温33.2度と6月の真夏日の最多記録を更新するなど、異例の暑さが続いている。農業用ハウスのトマトは、40度近い室温で実の変色などが相次ぎ、農家は今季の収穫を断念する事態となっている。
また、梅雨入りしたのにも関わらず、関東では降水量がかなり少ない状況だ。
ハウスの中が約40℃に…トマトが枯れる
日本列島は、西日本や東日本を中心に夏の高気圧に覆われた。6月30日も、朝から各地で気温が上昇した。

東京都心の最高気温は、33.2度となった。これで6月に入って13回目の真夏日で、6月の真夏日の最多記録をまた更新した。
取材班:
今、何してる?
男性:
日焼けしてる。
取材班:
汗は、どうですか?
男性:
めちゃめちゃ出てる。(今)梅雨だけど終わった感が強い。
本格的な夏を前に、危険な暑さが連日続いている。
例年、赤々とみずみずしく実りたくさんの収穫があるはずのトマトが、大きなダメージを受けている。農業用ハウスの中に広がっていたのは、枯れた枝葉としおれたトマトが並ぶ、衝撃的な光景だった。
愛媛・松山市にある風早山本農園では、トマトがこんな状態になったのは経験したことがないという。
風早山本農園・山本克樹さん:
梅雨の中日の30℃超が続いた頃から、しおれてだんだん枯れてきた。初めてです。24年間作ってこういう状態になったのは。
夏野菜のイメージがあるトマトだが、原産は南米のアンデス高原で、栽培の適温は意外と低く28℃だという。

ところが松山では、6月15日は31.3℃、16日は35.1℃、17日は31.9℃、18日は32.0℃、19日は32.5℃、20日は32.7℃、21日は32.8℃と、16日に観測史上最も早い猛暑日になるなど、30℃を超える日が続出した。ハウスの中は約40℃にまで上昇していたという。
風早山本農園・山本克樹さん:
ヤケドというか熱中症の重症。人間でいうと。
栽培していたのは、中玉トマトで糖度が8度以上のフルーツトマトになるように育ててきたことも影響したという。
風早山本農園・山本克樹さん:
普通の栽培よりは若干水を少なく与えているので、余計にダメージが大きかった。

例年だと7月10日くらいまであと約600kgほど収穫できるはずだったが、6月20日、今シーズンの収穫を断念した。
風早山本農園・山本克樹さん:
家族と同じ。それだけトマトに力を入れて作ってた。だから余計に今回ショックで。
暑さが続き…関東では降水量も激減
さらに、静岡県にある農業用ハウスでも、暑さでトマトが大打撃を受けている。

農家・佐野史洋さん:
トマトが夏の暑さの影響で中身がブヨブヨになっている。煮えたような感じ。
葉や茎が枯れ、実が柔らかくなったトマトは、一部が変色している。
静岡・富士宮市で農家をしている佐野さんは、約15年にわたりトマトを生産しているが、真夏を迎える前のこうした異変は初めてだという。
農家・佐野史洋さん:
遮光カーテンで昼間の暑い時に太陽光を遮り、実に日が当たって焼けないようにしていたが、室温がそれほど下がらずこういう状況に。

例年なら7月中旬まで出荷できるトマト。しかし2025年は100kg近くが残っているが、廃棄処分せざるを得ない。
農家・佐野史洋さん:
せっかく赤くなるまで育ってくれたトマトがこんな最後になってしまい、すごく残念。

佐野さんは、気候変動による影響に対し、ブラジル原産のジャボチカバというフルーツや中南米原産のアボカドなど、暑い夏でも生産できる果物の栽培に挑戦している。
危険な暑さは、全国的に次週にかけて続く見通しだ。最高気温が35℃以上の「猛暑日」となる地域が、九州から関東の内陸で多くなる見込みで、こまめに水分を摂るなど熱中症への十分な対策が必要だ。
異例の早さでの梅雨明けした西日本では、降水量は各地で平年以下となっている。6月10日頃に梅雨入りした関東も、雨の日は多くない。

降水量は平年の梅雨と比べ、東京は25%、千葉は23%、横浜は24%で25%程度とかなり少なく、関東北部なども、前橋は40%、宇都宮は45%、水戸は53%、さいたまは44%と40%から50%ほどだ。(梅雨入り6月10日から6月30日正午現在)
関東の梅雨明けは平年よりかなり早い7月上旬の予想で、このまま雨が少ないと降水量は記録的な少なさになる可能性もある。
(「イット!」6月30日放送より)