地元の食材にこだわり、人気商品を生み出したスーパーがある。
ブランド食材とコラボして次々と新商品を開発。地域に密着したスーパーの、地産地消の取り組みとは。
地産地消の取り組み
北海道函館市の「スーパーアークス千代台店」。店頭に並ぶ赤魚の切り身。
加工には北海道南部の食材が使用されている。
粕漬に使われているのは函館市の隣町、七飯町の酒蔵「箱館醸蔵」の日本酒「郷宝」の酒粕。
西京味噌漬には函館市南茅部産の真昆布が使われている。
「脂が乗っていておいしいから、わりと買う」
「味はいい。普通の塩味と違う」(ともに購入した客)

こちらは2025年4月に販売されると、月に約4000パック売れる大ヒット商品となった。
商品誕生のきっかけをスーパーの運営会社の担当者に聞くと―
「もともと赤魚の売り上げは月間約1000~2000パックだった。地産地消の食材を取り込めないかと思い自社製造でコストをカットして、納得する価格で販売できる商品が作れないか考えたのがきっかけ」(道南ラルズ 林翔太さん)

地元のブランドトマトを使ったジンギスカンも
他にも地元の食材を使った商品が。
精肉コーナーで目を引くのが、このジンギスカン。
北斗市の白石農園が作るブランドトマト「神トマト」を使ったタレに付け込んでいる。
月に約1500パックも売れる人気の品。
「ジンギスカンのタレにはリンゴなど果物が入っているので、もしかたらトマトもいけるんじゃないかと」(道南ラルズ 佐藤亮太さん)
ブランドトマトをジンギスカンのタレに使うことに、生産者はどう感じたのだろうか。
「ジンギスカンのタレを作りたいと思っていた。『神トマトジンギスカンを作りたい』と言われ、願ったりかなったりでびっくり。地元愛を強く意識してやっているので、同じ地元企業とコラボできたのはうれしい」(白石農園 白石敏明さん)
ジューシーでフルーツのような味わいが特徴の「神トマト」を使ったジンギスカンの味は―
「トマトの酸味より甘みをすごく感じます。普通のジンギスカンよりも、すごくジューシーだと思います」(有田慈彦ディレクター)

6月25日には、開発中の商品の試食会が行われた。
そのひとつが「神トマト」のタレに豚肉を漬け込んだ「トンジスカン」。この夏の発売を目指している。
「ラム肉が苦手な人やラムを食べなれていない人に、食べやすい商品を作ってみた」(道南ラルズ 佐藤亮太さん)
「ジンギスカンだと小さい子はかみ切れない。そういう子にあげやすい」(試食した道南ラルズの社員)

さらに攻めた、こんな商品も。
「トマトジンギスカンのタレをホッケと合わせるとどうかな。自分は食べたことがない」(道南ラルズ 林翔太さん)
魚とジンギスカンのタレのコラボ。全く想像できないが、一体どんな味がするのか?
「たまに食べるのがいいかもしれない」(試食した道南ラルズの社員)
「魚が嫌いな人や、子どもが食べそうな気がする」(試食した道南ラルズの社員)
「意外と考える余地があると思う。これから開発を重ねて、もっと良い食べやすい商品にしていけたらチャンスがある」(道南ラルズ 林翔太さん)

地元食材の取り組みは続く
ジンギスカン味のホッケが店頭に並ぶ日はいつになるのか。またひとつ、人気商品が生まれるかもしれない。
「地産地消で互いにメリットがある商品づくりを、今後も継続していきたい」(道南ラルズ 林翔太さん)
地元食材を使ったさまざまなアイディア商品で、生産者と消費者を結ぶ企業の取り組みは続く。
