シルバー人材センターといえば、庭木の剪定などを請け負ってくれるイメージがありますが、今どきのシルバー人材センターは実はどんどん進化しているんです。
中でも特に先進的な取り組みをしているのが、霧島市のシルバー人材センターです。
人手不足や高齢化、少子化が進むなかで地域の要望に応えながら日々、進化するその姿を取材しました。
霧島市のＪＲ隼人駅近くの隼人塚公園。
霧島市シルバー人材センターの「隼人草刈り班」の４人が元気よく働いています。
シルバー会員（７８）
「健康は良いですよ。やっぱり外で仕事をしているから」
シルバー会員（７１）
「仕事に対する責任感というか」
シルバー会員（７８）
「やっぱりみんなとふれあって、楽しく面白くやろうかと思ってます」
４人は働くことで報酬と健康と仲間、それに社会の一員としての実感を得ていると話します。
霧島市シルバー人材センターでは３５の都市公園の管理のほか、霧島市の全ての市道と、林道２５０８路線の点検や整備を引き受けています。
シルバー会員（７６）
「ここに道路に横から出てきて邪魔になる。車（の通行）に影響があるから」
この市道のように小さくても、人々の生活に必要な道路が日々、シルバーたちに守られているのです。
Q.社会を支えている？
「どうでしょうかね」
「貢献しとると言って。支えとるんじゃなくて」
霧島市シルバー人材センターの会員登録者数は約１０００人。
約４１００人の鹿児島市に次いで県内で２番目の規模です。
仕事は家庭のゴミ出しなどの生活支援や子育て支援のほか、最近では地元企業への人材派遣も増えています。
特徴的なのは、県内のシルバー人材センターの中では唯一という総菜事業と観光事業です。
総菜事業では弁当を受注製造していて、素朴でバランスの良いメニューを届けます。
また、観光事業では霧島神宮などの観光地で３８人の観光ガイドが活躍しています。
霧島シルバー観光ガイド「しっちょいどん」・松永文夫さん（７６）
「霧島市でも多くのガイドがいれば良いが、なかなか育たないと。そういうことで最後の砦みたいな感じになっています」
この観光事業は数年前、活動が維持できなくなったボランティアガイドを吸収し、霧島市では一つだけのガイド組織になっています。
元英語教師の会員もいて、インバウンド向けの英語ガイドも行っています。
このような多彩な事業は、地域社会からの要望に応じる形ではじめたケースがほとんど。その理由は…
霧島市シルバー人材センター・南田吉文理事長（７４）
「背景にあるのは（社会の）人出不足が一番じゃないでしょうか。高齢化と少子化がダブルで急速に進行する中で、その中で我々の存在が、世の中から求められているということではないか。若い世代の（仕事の）隙間を補完している部分もあったが、定年が延長になったりする中では主力とまではいかないが、かなりの部分で社会を担っている」
２０２５年４月からは、どの企業も引き受けなかったという国分中央高校の寮の食堂の運営を持ちかけられ、総菜事業のノウハウを生かして「カフェテリアきりぴょん」はじめました。
霧島市シルバー人材センター・内山美代子さん（７３）
「これは５升炊きで、きょうは（全部で）３８合。３升と８合炊いてます」
この日の朝食は炊きたてのご飯と温かいみそ汁にミートボールやサラダです。
ここでは運動部の４２人の生徒に朝食と夕食を提供し、昼食は総菜部から学校に弁当が届けられます。
国分中央高校の寮生
「量が少ないと動けないので、朝（食）とか大事だなと思う」
「おふくろの味みたいでおいしいです」
霧島市シルバー人材センター・内山美代子さん（７３）
「気持ち良いですよ、あいさつが。いつも元気をもらって帰ります」
シルバー会員・松下夏江さん（７３）
「かわいいです。食べますよ。びっくりするほど」
高校生たちの旺盛な食欲を見てシルバーはなんと、農業参入を決めたそうです。
霧島市シルバー人材センター・清本昌宏事務局長（５７）
「少しでも生徒たちに食べてもらおうと、田んぼをシルバーで作ってみようという計画」
地域からの要望に応える形で進化を続ける霧島市のシルバー人材センター。
地域にとって頼りがいのある、かけがえのない存在になっています。
