2020年7月の豪雨災害からの復興を見つめる映画『囁きの河』の先行上映会が26日、人吉市で開かれました。舞台挨拶では、主演の中原 丈雄さんなどが映画に対する思いを語りました。
(人吉市役所)
【中原 丈雄さん】「また元に戻っていくというか、ふるさとに気持ちも体も戻っていっている」
【大木 一史 監督】
「大事なことは、この人吉で作られた映画の思いみたいなものがここだけにとどまらず、全国の皆さんと共有すること」
26日は、熊本出身の俳優・中原丈雄さんなど映画『囁きの河』の関係者が人吉市役所を表敬訪問しました。
映画『囁きの河』は、2020年7月の豪雨で球磨川が氾濫し、甚大な被害が出た人吉球磨地域が舞台。22年ぶりにふるさとに戻った男が、失われた過去と現実に向き合う物語です。
中原さんは主人公の今西 孝之を、『球磨川くだり』の船頭を志す息子の文則を渡辺 裕太さんが演じます。このほか、三浦 浩一さん、清水 美砂さん、宮崎 美子さんなど豪華俳優陣が出演しています。
(人吉カルチャーパレス)
26日は全国公開に先立って、人吉市で上映会が開かれ、会場には400人を超える人たちが列を作りました。
【来場者】
「楽しみ」
「過疎化しつつある人吉球磨が映画で前向きになって元気をもらえたら」
上映の前、制作スタッフは映画に込めた思いを次のように語りました。
【エグゼクティブプロデューサー 青木 辰司さん】
「外の人間がこの水害の被害を受けている皆さんにどう貢献できるかということを考えた結果がこの映画になったのです。何よりも我々の力になったのは、人吉の人々の心でした。改めて僕は人吉の人たちに感謝を申し上げたいし、人吉の人たちがこの映画を見て『元気ついたよ』と言っていただけたら最高だなと思います」
(上映前、中原さんが観客の後ろに立っている)
【大木 一史 監督】
「令和2年7月の豪雨。そこで傷ついたこの街の人々とどう我々が向き合っていくべきか、それを一つの作品に込めていきたい。そういう思いから出発しました。人吉で上映できることに熱い思いを抱いて、きょうを迎えていると同時に、改めて人吉球磨地域の方々に非常に深い感謝の思いを抱いていることをお伝えしたいと思います」
上映後、出演者などによる舞台挨拶がありました。
【三浦 浩一さん】
「〈この映画を見たい〉と思ってくれる人が大勢いることに感動しています。今まで動いてくれた多くの人々、そして、きょうのお客さんに感謝します」
【渡辺 裕太さん】
「皆さんに見てもらうことでこの映画が完成したなと思います。皆さんが一緒になって映画を作り上げてくれました」
【中原 丈雄さん】
「これから先は皆さんの手で映画を育てていただきたい。(先行上映の)熊本は大ヒットということで全国公開を迎えたいですね」
【来場者】
「こういう所までこういう被害があったんだと映画で見られてよかった」
「地元の人の思いを背負って演技されていて、とても自然で、私たちも共感できました」
球磨川とともに生きる人たちの思いや日々の営みを静かに穏やかに描く映画『囁きの河』。
人吉市では29日にも上映会が開かれ、熊本市では27日、上映開始です。