福井県内の魅力を再発見する小旅のコーナーでは今回、大野市篠座にある篠座神社を訪ねます。神様が「目の病気に効く霊水を与えた」という伝説がある「御霊泉」に注目します。
城下町・大野に717年に創建「篠座神社」
越前大野城を中心に城下町として栄えた現在の大野市。北陸の小京都とも呼ばれる城下町には、風情ある街並みが残っています。
その城下町から南に2キロほど離れ豊かな自然に囲まれた場所にたたずむのが、篠座神社です。
養老元年(717年)に創建され、戦乱により一時は荒廃しましたが、大野城主・金森長近により再興され、大野の土地の守護神として崇拝されました。
菱川師福も…“目の病に効く霊水”
篠座神社の神域一帯は古くから湧水地となっています。水は人の命に関わる重要なものであることから、地域で大切に守られてきました。
神社の境内では、現在も所々で地面から水が湧き出る様子を見ることができます。拝殿の右手の弁天池のほとりには「御霊泉」と呼ばれるこの水場が整備されています。
ただの水場ではなく、古くから神様が「目の病気に効く霊水を与えた」という伝説があり「癒やしの神水」とも呼ばれています。
明治から昭和にかけて活躍し、不治の眼の病に苦しんでいた福井市出身の絵師・菱川師福は篠座神社に通った結果、奇跡的にその病気が治ったと伝えられています。
「篠座目薬」といわれ、現在も遠方からこの霊水を求めて訪れる人もいるそうで、目を清めるときは左、右の順で清めると良いといわれています。
50年前の霊水が今も美しいまま残る
篠座神社には約50年前に汲んだ霊水が現在も保存されています。宮司によりますと、大野を訪れた水の専門家も「これだけ古い水が綺麗に残っているのは珍しい」と驚いていたといいます。
神が与えたとされ、古くから地域で大切に守られ親しまれてきた篠座神社の御霊泉。不思議なパワーが宿っているのかもしれません。