2025年7月に開業する、名古屋市北区の新体育館「IGアリーナ」の内覧会が5月16日、行われました。

今後、国内外のビッグアーティストや、格闘技の国際的な試合も予定されていて、視察に訪れていた、愛知県の大村秀章知事は“名古屋飛ばし”の解消に自信を見せていましたが、よく言われる「名古屋飛ばし」の意外な歴史と現状を調べました。

■“名古屋飛ばし”がクローズアップされたとされる1987年と1992年

「名古屋飛ばし」とは「大きなイベントやコンサートの開催、列車などが名古屋をスルーすること」を指します。

その言葉がクローズアップされたのは、1987年と1992年とされています。1987年は日本の各地で、マドンナとマイケル・ジャクソンのコンサートが開催されましたが、名古屋公演は行われませんでした。

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1992年は、東海道新幹線の「のぞみ」がデビューしました。東京~新大阪間を2時間半で走ることで話題になりましたが、下りの一番列車「のぞみ301号」が名古屋駅には停まりませんでした。

名古屋通過のダイヤは、1997年まで続きました。

■“名古屋飛ばし”は江戸時代にも?

歴史を紐解くと「名古屋飛ばし」は江戸時代にもあったようです。尾張徳川家伝来の資料を保管する「徳川林政史研究所」の藤田英昭研究員に聞きました。

飛ばしたといわれているのが、3代将軍徳川家光です。

1634年、京都から江戸に向かう際、通常、将軍は専用の宿館(しゅっかん)である「本丸御殿」があることから、名古屋城に寄るべきですが、“素通り”したと「大君言行録(たいくん・げんこうろく)」に書かれています。

素通りの理由は、定かではないといいます。

■令和の“名古屋飛ばし”の現状は

“名古屋飛ばし”の現状はどうなっているのか、国内のライブ市場の実態調査をみると、2024年、全国の総公演数3万4251本のうち、東京は1万1277本、大阪5903本に対し、愛知は2350本と、全体の約6.8パーセントにとどまりました。

また、北海道・神奈川・福岡の公演数は、愛知を下回るものの、2023年より増加しています。

あくまでも全国ツアーに絞ったものではなく、総公演数ですが、愛知の公演数が少ない背景には“名古屋飛ばし”があるのかもしれません。

“名古屋飛ばし”の現状について、名古屋のコンサート運営会社は「名古屋飛ばしの実感はないが、ハコがないため名古屋公演を見送るケースはある」と、コンサートを開催できる場所が少ないことを指摘していました。

2025年5月23日放送

(東海テレビ)

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