『家庭教師のトライ』を運営するトライグループが、オンライン教材で「水俣病は遺伝する」と事実とは異なる記述をしていた問題で25日トライグループの幹部が
水俣市を訪れ、被害者団体などに謝罪しました。被害者団体からは「今回の過ちを教訓に、水俣病に苦しむ現場の声を反映した正しい教材づくりに努めてほしい」などの意見が出されました。
【トライグループ 楠瀬 大吾執行役員】
「水俣病の被害に遭われた方々、そして関係者の皆さまに大変不快な思いをさせ、
また水俣病に関する差別偏見の撲滅に向けて活動されてこられております貴会の努力を踏みにじることとなりましたこと、心よりおわび申し上げます」
この問題はトライグループが提供するオンライン教材の動画内で、解説をする講師が
『この病気が恐ろしいのは遺伝してしまうことです』と事実と異なる説明を行い、
その教材が2015年から10年間にわたって配信されていたものです。
25日はトライグループの楠瀬 大吾 執行役員と伊藤 元洋 九州地域本部長が
水俣市を訪れ、『水俣病被害者・支援者連絡会』と面会しました。
この中で楠瀬執行役員は問題の経緯について「教材動画のチェックを担当する社員が
見落としてしまったことが原因だ」と述べ謝罪した上で、社員約1500人に向けて
水俣病に関するオンライン研修を行ったことなど、現在、取り組んでいる再発防止策を報告しました。
その後の意見交換では「10年もの間、間違った情報を子どもたちに教えていた
社会的責任は大きい」と団体側が厳しく追及する場面もありました。
【水俣病互助会 岩本 昭則会長】
「『遺伝する』なんてことはもう74歳になるが一度も言われたことがない。
トライは水俣病に関してよく分かっていない。正しく若い世代に伝えてほしい」
【水俣病不知火患者会 元島 市朗 事務局長】
「これを機会に担当者を決めて現場(水俣市)に来てもらってきちっとしたモデルになるような教材をつくってほしい。それが犯した罪を償うことになる」
団体側からの要望に対し楠瀬執行役員は「持ち帰って前向きに検討したい」と述べるにとどめ、具体的な議論は行われませんでした。
【水俣病被害者・支援者連絡会山下 善寛 代表代行】
「間違った情報(を配信すること)がどれだけの影響を及ぼしたのか、それについては全然考えを持っていない、反省していない(印象だった)。現場の声を聞いて、これを教訓に従業員や講師についても教育をするなど今後のトライの対応に期待したい」
一方、懇談終了後、事実確認などを求めた報道陣に対し、トライグループの幹部は
「広報を通すように」と繰り返し、取材には応じませんでした。