■フジテレビ株主総会でダルトン案が否決
きょう=25日開かれたフジ・メディア・ホールディングスの株主総会の冒頭で、投資会社のダルトン側の株主提案が否決され、投票用紙がアンケートになったと発表がありました。
エンタメ業界に詳しい河西邦剛弁護士の解説です。
【河西邦剛弁護士】「ポイントになってくるのは委任状争奪戦の結果がわかっていたということになります。
委任状争奪戦が何かというと、フジ側、ダルトン側がそれぞれ委任状という書面を奪い合うんですね。株主の方に“自分たちを賛成してくださいね”と委任状を奪い合う。
それを、きょうの10時の開会前ぐらいのタイミングで集計が終わっていた時に、フジ側を支持する声が、半分を超えていたことが分かったと。
だからフジ側が『会社側が基本的には通りましたよ』と。ダルトン側の方は12人いるんですけれども、全員否決されましたということを一番初めに発表したということかと思います」
【河西邦剛弁護士】「なぜ一番初めに発表したのか。これは株主総会をなるべく荒れるのを防ぎたかったということかと思います。現にこれで帰宅されている方もいらっしゃるということですので、スムーズに進行するために、結論を先に出したということだと思います」
紛糾するのではないかという予想もあっただけに意外な展開となったことに政治ジャーナリスト岩田明子さんも驚きを隠せません。
【ジャーナリスト 岩田明子さん】「びっくりしました。残りの数、マックス定款上は18人いますから、その残りの部分にめいっぱいダルトン側が入ると、また新体制も結局、取締役会で色々もめて、進まないことになるのかなとか思いました。あと村上ファンドはどう動くのかなと思いましたけど、最初に結論でたというのは本当に想定外で驚きました。意外に票固めが堅い」
■きょうで終わりではない 秋には第2ラウンドの可能性
【青木源太キャスター】「取締役というのは、1人ずつこの人が取締役になることについてどう思いますか?と「賛成」「反対」を投じていくことも聞いたんですけれども、その投票はやる?」
【河西邦剛弁護士】「もうやらない可能性が高いですね。一応、最終的に半分は超えてるんだけども、数字を厳密に出すという意味で、一応投票は行うことはありますけれども、もう結論は出ている」
【青木源太キャスター】「フジ・メディア・ホールディングスの提案による取締役で、今後、会社は進んでいくと言うことでしょうか?」
【河西邦剛弁護士】「11人のフジ側の候補者が全員通りました。ダルトン側は全員否定されましたというのが、現状を読み解かれる所になってきますが、実はここでおしまいじゃないんです。
どういうことかというと、今回の株主総会がいつの時点の株主を起点にしてるかというと、3月末なんですね。基準日というのがあって、旧村上ファンド側の方が株式を買い増してる。そういった声もありますね。
そうなってくると秋ぐらいに、第2ラウンドのような、臨時の株主総会が開かれる可能性もありうるというところなんで、まだまだきょうは始まったばかりなんですね」
Q. 第2ラウンドでダルトン側が仕掛けてくる可能性がある?
【河西邦剛弁護士】「(フジHDの株主の)東宝、ダルトン飛ばして、野村さん。これは村上ファンド系ですね。レオス、文化放送、NTTドコモ、これ全部、フジ側には『賛成する』ともともと言ってたんですね。ここは恐らく通るだろうと。ポイントはダルトン側が通るかどうかだったんだけれども、ダルトン側からすると残念ながら半分を超えなかったという所がある。
ただ今回の株主総会の目的が何かと言えば、スポンサーの回復。これは全員一致しているんですね。全株主がスポンサーには帰ってきてもらいたいと思っている」
【青木源太キャスター】「株主にとってもスポンサーが戻ってきて、広告費が入ることで、収益が上がって株価が上がるわけですよね」
【河西邦剛弁護士】「実際、201億円の赤字に転落したわけです。ですからそれを回復したいところがある。では、『なぜ、ダルトンは戦ってるんだ?』と思いますね。ダルトン側はさらに利益を出したい。企業価値を上げたい。株価を上げたい。ここでフジ側とダルトン側の大きな溝があったんですね。
その大きなポイントになっているのが不動産。不動産事業のサンケイビルを切り離すかどうかという溝は最後まで埋まらなかった。次の秋の臨時株主総会では、この不動産をテーマにした、第2ラウンドが開かれる可能性がありえます」
■20年前からフジテレビと因縁・堀江貴文氏 「堀江氏との協業の有無ある」とフジ側
20年前からフジテレビと因縁のある、実業家・堀江貴文氏も株主総会に参加していました。
堀江氏は「認定持株会社をやめる気はあるのか?」と質問しました。これに対し、清水社長は「コンテンツ企業として世界に出て行こうとするとき、認定放送持株会社の縛りで自由な行動はとりにくい。フジメディアホールディングスが、今後どういう形になるべきか、様々な検討をしていきたい」と述べました。
株主総会の後に堀江氏を取材したところ、「質問したことに対して、清水さんの回答は非常にいいものであった」と話しました。
他の株主からの質問で「堀江氏との協業の有無」についての質問に対して、フジテレビは「あると思います」と回答したときには、会場から大きな拍手がわいたということです。
Q.スポンサーは戻ってくる?
【河西邦剛弁護士】「スポンサーは恐らく回復傾向にはあるかと思いますけれども、直ちに回復するのはなかなか難しいのかもしれません。例えば経団連の会長が、例えばこの株主総会ですぐに判断するということはなくて、実際に今回の改革の第一歩目で、これからの改革であったりとか、ガバナンスの回復が実現できるかどうかを見て行きますよということは言っていますので、中居氏問題によって、かなり減ってしまったものが、急にガクンと戻ることはないと思いますね」
■フジテレビ再生の水を差す オンラインカジノ問題
オンラインカジノの問題もあり、株主から質問も出ました。
「“オンラインカジノ問題”、会社としてはどう考えている?懲戒解雇を明言すべきでは?」と問われ、清水社長は、「大変申し訳ない。改めて厳正な処分を考えている。研修を通じてコンプライアンス意識の定着をしていく」と答えています。
オンラインカジノ問題については、バラエティ制作部企画担当部長が、オンラインカジノでバカラ賭博などに総額およそ1億円を入金し、賭博した疑いで逮捕されています。さらに男性アナウンサーも書類送検ということになりました。
【青木源太キャスター】「今フジテレビは生まれ変わろうとしている、うみを出し切ろうとしているという最中だと思いますけれども…」
【関西テレビ 加藤さゆり報道デスク】「まさにそうだと思います。清水社長になってアクション改革プランというのも、いま出していまして、この中に『コンテンツをもう少し伸ばしていこう』ということと合わせて、『人権ファーストで行きましょう』ということも書かれているんです。ようやくこれで承認も受けたので、正式に走り出せるという所ではあるので、社員の方のお話を聞いてると、もう今すでに清水社長の下で『よしやるぞ!』という気持ちになっている所で、今のオンラインカジノ事件は、やはり水を差す一件だったなという残念な声も聞かれました」
【河西邦剛弁護士】「ほんと、最悪のタイミングですよね」
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年6月25日放送)