世阿弥ゆかりの新潟県佐渡市の正法寺で6月21日、“ろうそく能”が上演され、多くの人が幽玄な世界観に酔いしれていました。伝統の継承が課題となる中、このろうそく能も今年で一区切りを迎えることになりました。
能の礎を築いた世阿弥が滞在したと伝えられる佐渡市の正法寺。
21日朝から準備が進められていたのは、ろうそくの灯りの中で能を舞い、世阿弥をしのぶ“ろうそく能”です。
【佐渡文化財団 伊里浩 事務局長】
「これからも佐渡の能の機会というのは残していかなければいけないもの」
しかし…
【正法寺 谷地田雅将 住職】
「そろそろ引き際かなと思っている」
今年で20回目の節目を迎え、支えてきた人たちの高齢化を理由に、今年で一区切りつけることに。
こうした中、ろうそくに灯りがともされ始まった演目。今回は盗賊の首領の霊が牛若丸に返り討ちにあった無念を語る演目『熊坂』が披露されました。
【観客】
「勢いがあって感動した。今年は特におもしろく聴かせていただいた。また来年も来たい」
毎年、県内外から多くの人が訪れるろうそく能。
【佐渡の能を識る会 近藤利弘 会長】
「『命に果てあり、能に果てあるべからず』と世阿弥も言っているが、その一言に尽きる」
【観世流能楽師 松本千俊さん】
「できれば、これから先もどういう形になるか分からないが、ぜひ、ろうそく能は続けられればと切に願っている」
少子高齢化の波が押し寄せる中、佐渡に息づく世阿弥の心を後世にどう受け継いくのか難しい課題が突きつけられています。