夏と言えばプールですが、多くの小中学校で行われる水泳の授業に今、変化が起きています。米子市では、2025年度から一部の小学校で、学校のプールを使わない新たな形で水泳の授業が行われています。
6月19日、米子市の崎津小学校。玄関に児童が集まりました。これから向かうのはプールです。
夏と言えばプール。
子どもたちにとって楽しみな水泳の授業です。
しかし、子どもたちはバスに乗り込み出発。
到着したのは、学校から10キロほど離れたスイミングスクールです。
米子市では2025年度、4校の小学校を対象に試験的に校外の屋内プールを使って水泳の授業を行っています。
先生:
では中に入って潜りますよー。
19日は1、2年生約40人が参加。
今シーズン初めての水泳の授業です。
児童:
涼しいです。楽しいです。
この屋内プールでの水泳授業、背景には近年の極端な気候、危険な猛暑がありました。米子市では19日も午前中に30度を超える暑さ。
一方、屋内プールでは強い日差しはなく快適です。
米子市では夏の期間中、最高気温が30度を超える「真夏日」を記録した日数は2023年で70日。20年前に比べ2倍以上に増加しました。
熱中症予防のため、計画的に授業を進めることが難しいケースも想定されることから、市は天候に左右されない学校外の屋内プールを活用する方針を決めました。
校外のプールでの授業では教員に加え、スクールのインストラクターがサポートします。より専門的な指導を行い、子どもたちの泳ぐ力の向上を目指します。
児童:
楽しかった。
児童:
小学校のプールが暑かった。今日は(建物の)中だったから涼しかった。
崎津小学校・渡部和幸教頭:
安定的に計画的に授業が進められるのは大きかったですね。いつもだったらやらなければいけなかったプールの水質管理がないということは、子どもたちの指導だけを考えればよいので、負担が軽減されたと思います。
櫃田優果記者:
学校外のプール授業が進められるのにはもう一つ理由があります。
全国でも課題となっているのが、学校のプールの老朽化です。
米子市によると、市内の小中学校の約8割で耐用年数の30年を越え、今後、修繕や建て替えにかかる費用は校外のプールを活用した場合の2倍近くになり、経費面でのメリットも大きいということです。
米子市教育委員学校教育課・仲倉昭雄教育課長:
子どもたちが楽しんで意欲的に水泳学習に取り組んでいたなと感じました。この成果や課題を検証しながら順次(実施校を)増やしていきたいと考えています。
一方で課題となるのが、児童の移動時間。
今回のモデル事業では、バスの中で授業を振り返るなど学習時間として活用するとしています。さらに…。
米子市教育委員学校教育課・仲倉昭雄教育課長:
これまでは水泳学習は夏季、夏が中心となっていましたが、将来的には年間を通して水泳学習を行うということも考えられます。
今後、校外プール活用が広がれば、スケジュール調整のため、夏の期間以外にも水泳の授業を行うことも検討するということです。
変わる学校の水泳授業。子どもたちが歓声を上げる屋外のプールの風景…近い将来、夏の風物詩ではなくなるかもしれません。