島根県西部で受け継がれる伝統芸能・石見神楽が6月19日夜、大阪・関西万博の会場で上演されました。
55年前ぶりの万博の舞台で55頭の大蛇が迫力の舞を披露、その魅力を世界に発信しました。

田中祐一朗記者:
会場の前ですが、開演の1時間半前にこの長蛇の列ができています。

大阪市の万博会場で19日、島根県西部の伝統芸能・石見神楽の特別公演。
1600人収容のホールは、開演前にすでに満席でした。
万博の舞台では55年ぶりの公演、2日間で4回のステージに浜田市内の社中から総勢約150人が参加、衣裳や道具も持ち寄って神楽のまち・浜田をアピールします。

演出を手がけたのは人気ダンス・ボーカルグループ「EXILE(エグザイル)」の振付やライブの演出を担当しているPATO(パト)さん。
「大蛇(おろち)」や「神迎(かんむかえ)」など代表的な4つの演目をひとつのストーリーに仕立てました。
ナレーションやプロジェクションマッピングなどこれまでの石見神楽にはなかった演出も取り入れ、伝統の中に新しい息吹を吹き込みました。

万博での公演の約10日後に控えた6月10日は、浜田市で最後の練習会がありました。
その様子を見守るのは、長冨幸男さんです。
55年前、1970年の大阪万博で神楽を披露しました。
長冨さんは当時23歳。78歳になった今は第一線を退き、後進の活躍を静かに見守ります。

長冨幸男さん:
この若い人たちが東京、大阪の方に出ずに田舎にいて、これだけのことを守ってくれるということが大変私は嬉しく思っております。

石見神楽が国内だけでなく海外からも公演に呼ばれるきっかけになったのが、前回の大阪万博でのステージだったということで、この大阪・関西万博の舞台が新たな伝統の第一歩になればと期待します。
約2時間、長丁場の公演もいよいよクライマックス。
「55年ぶり」の公演にちなんで、55頭の大蛇がステージを埋めました。
浜田の“神楽人”が総力を結集、圧巻のパフォーマンスで再び観客を魅了しました。

観客:
すごい迫力の公演でした。55頭の大蛇はすごかった。

観客:
最高によかった。

長冨幸男さん:
きょう最後、最高によかったですね。音響、照明とてもよかったので、とても立派に見えました。伝統を引き継がなきゃいけない。今から一生、50年100年かかっても一生守っていこうと思います。

55年ぶりの万博の舞台、長きに渡って受け継がれてきた石見神楽の歴史に新たな1ページが加えられました。

TSKさんいん中央テレビ
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