タワマンが並ぶ再開発エリア、東京・武蔵小山で、八百屋10軒以上が軒を連ね、安売り競争が激化している。
空き店舗に台を並べれば開業できる手軽さに加え、住民が密集する高層住宅で集客効率が高いことが背景にあるという。外国人が経営する店も参入し、競争はさらに広がる見通しだ。
タワマン街に広がる激安八百屋競争
季節外れの暑さが続く中、都内のある地域でもうひとつの熱い戦いが起きている。

テーマは、「なぜ?タワマンの街で八百屋安売り合戦。ソレってどうなの」だ。
八百屋の軒先に野菜や果物がズラリと並んでいる。17日も新鮮な野菜を求め、多くのお客さんが訪れていた。
再開発が進む東京・武蔵小山エリアは、品川区と目黒区にまたがり、タワーマンションが立ち並び、交通の便もいい人気の地域。

東急目黒線の武蔵小山駅や西小山駅周辺でここ数年、八百屋が激増しているという。
買い物客:
八百屋さんが結構増えた。スーパーより安い。
買い物客:
ここ半年くらいで増えてると思って通っている。今3軒目。良さそうな物と値段を見て「今日はこっちがいいな」と選んで買ってる。
中には、遠征してくるという方もいる。

遠征客:
世田谷に住んでいるが、安い八百屋さんがいっぱいあるので友達と来た。玉ねぎもこんな安い。98円、4つ。世田谷だと1つ100円しますよ。
一体、この地域の周辺に八百屋は何軒あるのか。
取材班:
八百屋さんがあります。向かいを見てみると、こちらにも八百屋さんがあります。
取材班:
武蔵小山の商店街に来ているんですが、八百屋さんがありますね。少し奥へ行った所にも八百屋さんがあります。
去年10月にオープンしたお店は、今年3月にも新しい店舗を開店させている。
この地域で70年、店を営んでいる三金店長の西沢好晴さんも、最近八百屋が増えたという。

三金・西沢好晴店長:
武蔵小山には(八百屋が)増えた。「やっていける」という確信を持ったのでは。人が通るところに(店を)出さないとというのがある。そういう意味では駅の周辺がチャンス。
武蔵小山エリアにある八百屋の数は番組が調べたところ、10軒以上もあった。店長の西沢さんに、八百屋がこのところ急増している理由を聞いた。

三金・西沢好晴店長:
八百屋は例えば、がらんと空いていればそこに台を並べればできる商売。肉や魚店は店を出すのに設備投資をしないといけない。冷蔵庫、ショーケース、衛生面で言えば保健所の検査。そういう点では、八百屋の方が出しやすい。仮に野菜のことを知らなくても売れる。
そして今、外国の方が経営する八百屋も増えている。

ネパール人の店長のアソクさんは2024年、八百屋をオープンさせた。その理由について伺った。
矢口青果店長・アソクさん:
商店街の人通りが多い、朝晩。それで(社長が)気になってオープンした。駅の周りにも大きいマンションが立っているので、その影響で新しい若い人がどんどん増えている。
その結果、周辺には多くの八百屋が乱立し、競争が生まれているようだ。

矢口青果店長・アソクさん:
いい物を売れば必ずお客さんは入る。安く仕入れて安く売る。利益少なく。人件費もかけないように。
価格の設定が変更しやすいことも人気の理由に
イット!のスタジオでは…
青井実キャスター:
外国人オーナーも出店ということですが、どうでしょう?

SPキャスターパックン:
いいじゃないですか。スーパーしかないアメリカから来た僕にとっては、こういう肉屋さんとか魚屋さんとか八百屋さんという、近所密着型の個人経営のお店があるのは非常にありがたいです。無くなった地域も多いから、羨ましい方が多いんじゃないかなと思います。
青井キャスター:
専門家の永濱さんによると、他にも八百屋が増えている理由があるそうです。
第一生命経済研究所 首席エコノミスト・永濱利廣さん:
(タワマンは)住宅が集積しているので、そういった意味では非常に集客の効率性が高い。スーパーマーケットは定番商品が豊富だったりするが、八百屋の方が価格の設定も変更しやすく、柔軟性が高い。日替わりとか時間帯割引とか交渉の余地がある。物価高の中で嗜好されやすい。
再開発が進む東京では、今後タワマンのある場所に出店する八百屋がさらに増えていくかもしれない。
(「イット!」6月18日放送より)