福岡市の水族館「マリンワールド海の中道」が国内の水族館で初めて、絶滅危惧種に指定されている「ヤマノカミ」の繁殖に成功しました。

ゴツゴツとした岩のような体と、鮮やかなオレンジ色のエラぶたが特徴の魚、その名も「ヤマノカミ」。

諸説ありますが、山の神に供え物として捧げられたことに由来する、とも言われています。

このヤマノカミは九州にのみ生息する川魚で、普段は有明海のそばの川で暮らしています。

繁殖期には海へと下り産卵しますが、近年、河口に堰(せき)が作られたことなどから、生息数が減少し絶滅の危機に瀕しています。

こうした中ー

◆マリンワールド海の中道 野田早智さん
「こちらが今年の春に生まれたばかりのヤマノカミの赤ちゃんです」

福岡市のマリンワールド海の中道が、国内の水族館で初めて、絶滅危惧種「ヤマノカミ」の繁殖に成功したのです。

◆マリンワールド海の中道 野田早智さん
「待ちに待った状態だったので、繁殖チームの中で『生まれてます』って連絡が来たときは『やったー!』っていう気持ちでしたね」

マリンワールドが繁殖プロジェクトを始動させたのは、去年11月。

まず、水槽の中に産卵場所となる竹筒などを設置。

さらに、水温や塩分濃度を調整し、繁殖シーズンである冬の有明海を再現することで繁殖を促しました。

そして今年3月、巣穴での産卵を確認。

その後、ふ化するまでの1カ月、卵を守り続けたのは「オスの親」でした。

近付く魚を追い払ったり、胸びれを使って卵に新鮮な水を送り続けたといいます。

そして今年4月、稚魚が無事に卵からかえると、オスの親は直後にその命を終えました。

◆マリンワールド海の中道 野田早智さん
「彼らは産卵を終えると寿命を迎える魚ですので、命をかけて守ってるんだなっていうのを間近で見ることができましたね」

父親が守り抜いたヤマノカミの稚魚たちはすくすく成長し、現在体長は3センチほど。

7月中旬ごろまで展示されています。

テレビ西日本
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