日米首脳会談での関税交渉の行方やG7を切り上げて帰国するトランプ大統領の思惑について、カナダで取材中のフジテレビ政治部・首相官邸キャップの瀬島隆太郎記者とワシントン支局の中西孝介記者に聞いていきます。
青井実キャスター:
瀬島さん、日米首脳会談では関税交渉の継続を確認したものの合意には至らなかったということですが、日本側としての手応えはどのように感じますか?
首相官邸キャップ・瀬島隆太郎記者:
会談前から高い確率で交渉の継続になるとの声が上がっていたので、結果は「想定の範囲内」という見方が大勢を占めています。
ただ、合意が想定より遠いことが浮き彫りとなり、官邸幹部は「アメリカの都合は正直分からない」と漏らしていた他、同行筋も「早期の合意を目指すような雰囲気ではない」としています。
一方で、自動車関税の引き下げを念頭に参院選後に合理的判断をするのもありだという声も出ている状況です。
宮司愛海キャスター:
そして、中西さんに聞きます。一方で関税交渉のアメリカ側の反応はどうでしょうか?
ワシントン支局・中西孝介記者:
トランプ大統領は、日米の関税交渉について「よかった」とひと言だけ触れています。ただ、アメリカ政府は日米首脳会談等について現時点で何も発表はしていません。これは他の国にも言えまして、アメリカ政府は2国間会談については貿易交渉で最終合意をしたイギリスにほとんど言及を集中していて、成果の強調だけが際立っている形です。
宮司愛海キャスター:
トランプ大統領を巡っては、中東情勢に対応するためにG7サミットを切り上げて異例の帰国を発表していますが、帰国の詳しい理由については分かっているのでしょうか?
ワシントン支局・中西孝介記者:
これは様々な情報が飛び交っています。イスラエルによるイランへの大規模攻撃を把握しているのではないかという話も出ています。フランスのマクロン大統領は、トランプ氏がイスラエルとイランの停戦を提案したと明かしましたが、トランプ氏は先ほどSNSで「間違っている。私がワシントンに戻るのは停戦と何の関係もない。もっと大きな問題だ!」と否定しましたが詳細の説明はしていません。そのため、アメリカがイランの核施設を直接攻撃するのではないかなどの臆測まで出ています。
青井実キャスター:
瀬島さんに聞いていきますが、日本の反応ですけれども、トランプ大統領の異例の帰国はどんな受け止めでしょうか?
首相官邸キャップ・瀬島隆太郎記者:
官邸の幹部に話を聞いたのですが、自由でトランプ大統領らしいと苦笑いをしていました。また、複数の関係者は、「トランプ大統領が来ない可能性もあったので、初日の議論に参加し個別会談を実現した意味は大きい」といった見方を示していました。ただ混乱があるのも事実で、こうした評価は欧米の橋渡し役を狙う日本独自の立ち位置ともいえそうです。
青井実キャスター:
世界各国の記者の反応として、ビックリしたという感じでしょうか?
首相官邸キャップ・瀬島隆太郎記者:
そうですね、まさにトランプ劇場といったところじゃないでしょうか。
宮司愛海キャスター:
中西さん、トランプ大統領不在の中、G7の中で様々議題があると思いますが、他の首脳たちは今後どういったことを話し合っていくのでしょうか?
ワシントン支局・中西孝介記者:
最終日となる2日目ですが、ウクライナのゼレンスキー大統領が出席する会合やG7の招待国などを含めた協議なども予定されています。ただトランプ氏が、いわばG7首脳との協調よりも単独行動を優先したということで、主要国の足並みがそろっていません。今後の議論が深まるかどうかは不透明といえそうです。
青井実キャスター:
瀬島さん、トランプ大統領がいなくなってしまいましたが共同声明を出すわけですけど、日本はこのあと、どんな主張をしていくのでしょうか?
首相官邸キャップ・瀬島隆太郎記者:
まず、首脳宣言の採択は2008年以降初めて見送られる方向となっています。ただ、トランプ大統領の帰国で亀裂が鮮明なウクライナ情勢では、欧米が決定的に決裂するシナリオは薄れたともいえそうです。石破首相としては、ウクライナ支援での結束を訴える見通しです。