石破首相が13日、参院選公約として国民一律2万円、子どもと低所得者に追加2万円の現金給付を表明した。
しかし、FNNの世論調査では現金給付について評価する人は約33%に留まり、約65%が否定的だった。街では、根拠とされる「年間食費25万円」に疑問が続出した。
給付2万円も…「評価しない」が約65%
全ての国民に2万円を現金給付するという、石破首相が表明した参院選の公約に今、不満の声が上がっている。

16日のテーマは「給付金2万円 根拠は“食費1人1カ月2万円 ソレってどうなの?」だ。
全国民に2万円、子どもと低所得者にさらに2万円。13日、石破首相はカメラの前でこう表明した。
石破首相:
決してばらまきではなく、本当に困っておられる方々に、重点を置いた給付金を来たるべき参議院の公約に盛り込むよう指示した。
しかし、世の中の受け止めは厳しいものだった。

週末に行ったFNNの世論調査では、現金給付について、「大いに評価」と答えた人は9.9%、「ある程度評価」と答えた人は23.9%で合わせて約33%。一方で、「あまり評価しない」と答えた人が30.0%、「まったく評価しない」と回答した人が35.7%で、合わせて約65%に上った。
さらに波紋が広がっているのが、2万円という金額の根拠だ。鹿児島市で14日、自民党のナンバーツーの森山幹事長は、次のように説明した。

自民・森山幹事長:
一律2万円の根拠は、家計調査によると食費にかかる一年間の消費税負担額が、1人あたり2万円程度。

どういった計算でこうなるのだろうか。消費税を年間「2万円」負担した場合の食費だが、軽減税率が8%であることから逆算すると、1人あたりの食費は年間「25万円」となる。1カ月あたりの食費にすると、「2万833円」となる。街のみなさんに、この数字をどう思うか聞いた。
親子:
少なくない!?食費。スーパー(の買い物)だけでも2万円は超える。「自分らそれで生きていってるんですか?」と思うかも。計算した人はそうなんですかと逆に聞きたい。「何食べているんですか?」と聞きたい。
1人世帯:
(食費は)もっと掛かっていて、3〜4万。外食もあるので、2万円ポンと入ってきても、米を買ったら終わってしまう。
3人世帯:
安すぎる。米も今値上がりしているし、(食費は)2倍ぐらい掛かっている。
この「2万833円」を1日当たりの金額にすると700円弱となる。東京・練馬区にあるアキダイ関町本店で、3食でこの金額はどうなのか聞いた。
取材班:
1ヶ月の食費は?
買い物客:
13、14万円はいく。
取材班:
給付金2万円についてどう思うか?
買い物客:
安いと思う。
買い物客:
2人暮らしだけど(食費)8万円ぐらい。物価があれ(高い)なので、焼け石に水のような感じ。
一人世帯では8000円以上足りない結果に
青井実キャスター:
森山幹事長は、家計調査をもとにしたと説明していました。

SPキャスター岩田朋子さん:
自民党は4月頃は一律5万円給付というのを主張していましたけれど、これが無くなったと。結局この2万円というのは、税収上振れ分が3兆円台半ばだというのが見えてきて、この決断になったと思うので、根拠は本当は税収のところなのかなと思います。ちょっと少ないですね。
青井キャスター:
では、家計調査をもう一度検証して行きたいと思います。ファイナンシャルプランナーの資格を持つ智田祐一解説副委員長に聞きました。
フジテレビ・智田裕一解説服委員長:
総務省の2024年の家計調査によると、総世帯でみた場合、1世帯あたりの1カ月の酒や外食を除いた食費は「5万4134円」です。
これを一人当たりに直すと、1カ月「2万4946円」になります。年間にすると「29万9358円」ということで、これに食料品の軽減税率8%分を計算すると、消費税は「2万2174円」になり、給付するとしている2万円の水準に近い金額になります。

フジテレビ・智田裕一解説服委員長:
一方、一人世帯・単身世帯ではどうかといいうと、1カ月当たりの食費が「3万1750円」、年間にすると「38万1000円」という計算になります。これの消費税分は「2万8222円」になるので、給付するとしている水準2万円では、少し補えない部分が大きいという計算になります。

青井キャスター:
子どものいる世帯も含めた全世帯を基準に考えますと、2万円の給付額は妥当だという結果になりましたが、一人世帯では8000円以上足りない結果となりました。では、一人世帯の方にもどう思うか聞きました。
1人世帯:
うーん2万円か…それよりも税金とか下げてほしい。
1人世帯:
子どもがいる家庭の方が、1人暮らしと比較すると負担も大きい。その観点ではしょうがないかなと。
街では、色々な受け止めがあった。せっかくの現金給付に、丁寧な説明をお願いしたい。
(「イット!」6月16日放送より)