購入したはずの車が納車されないという被害報告が全国で相次いでいるのが、中古車販売チェーン「カーネル」です。
全国の14店舗は全て連絡がつかず閉店状態。
「カーネル仙台店」からも従業員は消え、値札が付いたままの車が放置されています。
カーネル仙台店元店長:
納車待ちの車ですね。大体3月とかの契約。信頼して買っていただいたんですけど、このような状況になって申し訳ないという気持ちでいっぱいです。
「お客さんに申し訳ない」と話すのは仙台店の店長だった男性。
カーネル仙台店元店長:
こんな金がないような社長には見えなかったです、当時は。僕はもう完全に怒りを通り越してあきれています。
そう非難している相手は運営会社のN社長。
元店長自身、2025年に入ってからの給料5カ月分、約150万円が未払いのままだといいます。
カーネル仙台店元店長:
社長からは「来週には払いますよ」みたいな。あと融資先が新しく決まりましたよとか。それを信じてやってきたんですけど。
年末から給料の支払いが遅れ始め、店舗の運営資金も滞るようになる中、4月にはN社長が全国の店長を集めてウェブ会議を行いました。
その時の映像があります。
カーネル運営会社・N社長:
(融資予定の)1.4億(円)に関しては、やっているのは1カ月前ですけど、ズレてるという意味では1カ月半くらいかな、ズレてきたのは。
この日は支援企業から1億4000万円の融資を受けるはずの日。
しかしN社長は、融資が遅れる理由として、驚きの説明をしたというのです。
カーネル仙台店元店長:
(融資)受取日の当日に相手の社長が緊急入院でICU入っちゃったんで、きょうの調達はズレますという報告があったんですよ。もうその時点であきれますよね。本当かよ!みたいな。
入院の証拠として、N社長は画面に搬送先で治療中とみられる男性の写真を示しました。
そのうえで、他の企業から受ける予定の融資も遅れているとの説明を重ねます。
カーネル運営会社・N社長:
2億(円)もズレてきてますね、でもうすぐ。であとは3億はズレましたし、あとうーんまぁ他にもあるんですけど色々と。
事態の先延ばしともとれるこうした説明が幾度となく繰り返されたといいます。
カーネル仙台店元店長:
月曜日にじゃあ本日の調達どうなりましたか?って聞いた時に、先方の社長さんのご家族に不幸があって、お葬式に行かれちゃいましたみたいな。ICU入った人が3日で出てきてお葬式行ってるんですよ。そんな馬鹿な話ないだろうって。
元店長は、納車を待ち続けている購入者と同じく、給料が支払われていない従業員も被害者だと訴えます。
カーネル仙台店元店長:
正直、僕の知ってる店長も毎日もやし食べてるような生活を送ってる。報道がされて労働基準監督署も本格的に動きますみたいな連絡が結構あったらしいので、ちょっとホッとしましたね。
現状について弁護士はこう問題視しています。
橋下綜合法律事務所・溝上宏司弁護士:
資金が未払いという形なので、「労基法」の問題として30万円以下の罰則付きという形にはなってくる。会議の場でありもしない融資計画であったり、嘘のものを述べて、賃金の支払いの猶予を得る形だと評価できるのであれば、「詐欺罪」の成立も可能性としてはありえないわけではない。