栃木・那須町で宿泊税の導入が成立。
導入の背景には、他の地域とは少し違う特有の課題がありました。
雄大な自然が広がる那須高原やテーマパーク。
両陛下らが静養される御用邸があることでも知られ、連休には家族連れも多く訪れる那須町。
そんな観光地で12日、宿泊税の導入が成立。
町が2025年10月からの導入を目指す宿泊税。
1人あたり1泊の宿泊料金が1万円未満の場合は100円、5万円から10万円未満の場合は1500円、10万円以上の場合最大で3000円の宿泊税が徴収されます。
年間で約3億円の税収を見込み、道路整備や周遊バスの充実といった観光振興に充てられる予定です。
宿泊税の導入に観光客からは「数百円ならいいんじゃないかな。でも数千円はちょっと高いな」「ある程度、観光客の人が今、外国人とかが多いので必要だと思う」などの声が聞かれました。
急増するインバウンドなどを背景に、東京や京都などではすでに導入されている宿泊税。
人気の温泉街、神奈川県の箱根町でも導入の検討を始めるなど広がりつつあります。
2024年の観光客は約562万人と統計開始以来、過去最多となった那須町。
最近は動物のテーマパークが外国人にも人気だといいます。
しかし、取材を進めるとインバウンド対策だけではない地域特有の課題が見えてきました。
温泉街の柵や側溝のふたは、劣化によりさびだらけ。
整備されていない箇所がいくつも見られました。
さらに温泉街で民宿を営む人からは切実な声が。
民宿旅館 アサカ荘・浅賀みさこさん:
来月やめるんです、民宿をやめる。壁とかも汚いでしょう。(宿泊税導入が)10年くらい前なら改装とかしたかもしれないけど。
観光が主要産業の那須町。
しかし、人口減少が進み、税収が減ることが喫緊の課題で、今後、観光地として発展していくために財源の確保が必要だというのです。
航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんは「観光地としてブランドがある所は宿泊税を徴収した状況でも宿泊客が減るという懸念はないと思う。一方、なかなか誘客が難しいような場所で導入してしまうとネガティブなイメージを抱かれてしまう。(客が)減ってしまう懸念はある」と指摘しました。