2022年、仙台市青葉区のアパートで、交際していた男と共謀して知人の男性を殺害し、遺体を切断して遺棄した罪などに問われている女の裁判員裁判が、6月11日、仙台地裁で始まりました。女は殺人について起訴内容を認めませんでした。
起訴状などによりますと、住所不定・無職の山口優被告は2022年11月、交際相手の前田広樹被告と共謀し、青葉区のアパートで知人の佐藤大貴さんの首をタオルのようなもので絞めて殺害。さらに、風呂場で佐藤さんの遺体をチェーンソーで切断した後、キャリーケースに入れて若林区荒浜までタクシーで運び、土の中に遺棄したとされています。
事件から約2年後の去年10月に始まった前田被告の裁判では、佐藤さんの殺害に至るまでの異常な経緯も明らかになりました。
一時はアパートで同居するほど親しい関係にあったという3人。しかし、前田被告の障がいを佐藤さんがばかにしたことをきっかけに、2人は佐藤さんに対して暴力を加えるようになったといいます。
さらに、電動ドライバーで佐藤さんの足を刺し、けがをさせるなどの行為に加え、「大便を食べればアパートにいさせてやる」と脅し、実際に食べさせるなどの強要行為もしていたことが明かされました。
仙台地裁は去年11月、前田被告に対し「怒りの感情から暴力を振るい始め殺害に至っていて、経緯に酌むべき余地は全くない」として懲役25年の実刑判決を言い渡し、前田被告は控訴しています。
そして、11日、仙台地裁で開かれた山口被告の初公判。上下ともにピンク色のジャージ姿で法廷に現れ、落ち着いた様子で裁判に臨みました。
冒頭、起訴内容について問われた山口被告は、死体損壊・遺棄については「間違いありません」と認めた一方、殺人に関しては「首を絞めたことはありません」「死なせる気もありませんでした」などと否認しました。
続く冒頭陳述で、検察側は山口被告と前田被告の2人がタオルのようなもので佐藤さんの首を絞めて殺害したと指摘しましたが、弁護側は、てんかんの発作で暴れる佐藤さんをおとなしくさせるために口と鼻を押さえただけだったなどとし、殺人罪は成立しないと主張しました。
また、被害者に大便を食べさせた行為に関しても、山口被告は強要していないとしました。
山口被告への判決は、7月10日に言い渡される予定です。