北海道・倶知安町のシンボルで日本百名山の1つに数えられる羊蹄山。
そのふもとに思わぬものが作られていました。
木々が生い茂る森の一部にぽっかりと空いた広大なスペース。
その中心には建設工事中とみられる巨大な建築物が確認できます。
木々を切り倒し、無許可で進められたという大規模開発疑惑。
北海道が森林法違反として工事の停止を命じる一方、地元からは「土砂災害。それが一番怖いですね」と災害に対する不安の声が。
「イット！」の直撃に建設業者は「道路を作ったり森林を伐採している。会社とは私たちは違うんですよ」と話しました。
「イット！」は、実際の現場へ。
山林の突き当たりに工事車両が出入りするゲートが設けられ、奥の一本道の先には重機が並んでいます。
約2年前には一面に木々が生い茂っていた森林が切り開かれ、開発が進められていたのです。
ゲートの前にいた工事関係者に話を聞きました。
工事関係者は「2階建ての建物ができているみたい。許可を取らないで（敷地を）広げていたところがあったと」と話しました。
ゲート横の看板を見ると、2階建ての住宅を建設すると書かれ、その下には建築主の名前も書かれています。
「リー」と書かれた外国人とみられる名前が記されていました。
近所の人は「無断で伐採して、大々的に（工事を）やり始めたのは去年の秋くらいから」「中国人の方なのか、他のアジアの方なのか特定できないが、あの建物から、整地とか一気に進めている感じ」と話します。
少なくとも1年以上前から行われていたというこの大規模開発。
北海道によると、無許可で始まったという森林伐採の規模は事前に許可が必要な1ha以上に及ぶため、「森林法違反」の状態だといいます。
住民らは「土砂災害や水。森林があってこその水なので、それが1番怖い、森林伐採は。無断開発は怒りしかない」と、山林を開発することによる環境汚染や災害発生への不安を口にします。
6月4日、北海道は現地の立ち入り調査を行い、伐採作業の中止を勧告しました。
さらに建築中の建物については、いったん「建築確認申請」が認められたものの、提出された図面と実際の建物に異なる部分があったため、再度、工事の中止が言い渡されました。
建設工事を請け負っていたのは札幌の建設会社。
「イット！」の取材に「伐採はすでに終わっていた。（開発主が）頼んだところが勝手に木を切ったからという話を私たちの方にしかされていない」と回答しました。
「森林を伐採したのは別の業者」だとしたうえで、工事を請け負った札幌の建設会社は「図面に対して現地の状況が、木が切られているところが多くて不整合になっているから、いったん工事を止めてくださいと。私たちの方では森林法に抵触しないという考えのもとで建築を進めていた」と続けます。
こうした事態を踏まえ、北海道は、環境を保全し森林の機能を維持するための復旧工事計画書の提出を求めています。
